新学期が始まって2週間、高校でも本格的に授業が始まりましたね。入学したばかりの高1生はいきなりテストがあったりオリエンテーションがあったりで、なかなか授業が始まらずにやきもきしてたのではないでしょうか。

それとも授業がスタートしてしまってガッカリしているんですかねぇ。

さて、当学院の高校部も本格始動しています。学院生はご存じだと思いますが、当学院のカリキュラムはズバリ「指定校推薦」を狙うのにベストなものとなっています。簡単に言えば、学校の成績を上げきろう、といったところです。

しかし我々塾人の悪い癖ですが、教育用語を何の気なしに使ってしまうんです。例えば「指定校推薦」なんて名称もそう。これから高校に入ろうという元:中3生には何のこっちゃ分からないでしょう。

学院生には入試後の高校入学オリエンテーションで説明をしました。受験直後の浮ついたアタマで理解出来たかは怪しいところです。そこで、大学入試の制度の1つである指定校推薦について、全く知らない方にも理解出来るように、ごく簡単に説明をしたいと思います(長いですけど)。

指定校推薦とは

大学へ進学するための受験方法は主に4つあります。そのうちの1つが指定校推薦です。

ちなみに4つの受験方法とは、「一般受験」、「公募推薦」、「AO入試」、そして「指定校推薦」です。今の保護者世代には聞き慣れないものが2つほどありますね。このあたりはまたの機会に解説しようと思います。

大学から「高校を指定」して募集する

指定校推薦の「指定校」とは、大学が「高校を指定」する事を意味します。大学が高校に対して「おたくの高校は良い生徒さんがいるので○名受けていいよ」と指定するのです。

指定されるかどうかは、その大学に入った先輩の実績が影響するようです。大学で活躍をしている学生の母校なら、同じような良い学生が集まる可能性は高いですからね。

反対に、せっかく指定校推薦で入学したものの、真面目に通わず授業についていけないあげくに辞めてしまったなんて醜態を犯すと、次の年から募集が無くなる、なんてこともあるようです。恨むなら先輩を恨むべし。

そのため、毎年どの大学から何人募集が来るかは流動的です。思わぬ上位大学から募集が始まったり、逆に無くなったりを繰り返します。高1のとき「あ、私の行きたい大学からは募集がないや」なんて油断していると、突然高3のとき募集が来ていて悔しい思いをすることも(私がそれで痛い目を見ました)。

高校内で校内選考をする

指定校推薦の募集は、「○○大学△△学部□名」のように細かく決まっています。たいてい1学部につき1~3名です。

これを高校内で競います。およそ高3の9月に高校内で募集を行い(私立はもっと早いところも)、校内選考を行います。同じ学科に定員を超える人数が集まった場合、ふるいにかけるシステムです。

評定平均で決まる

選考基準はズバリ「評定平均」です。

ハイ、専門用語ダメですね。評定平均とは、成績の平均のことです。高校によって通知表の成績は10段階だったり5段階だったりしますが、これを全て5段階にして、平均をしたものを「評定平均」と言います。

だから、もし誰かと希望がカブった場合、評定平均で勝負します。0.1でも高ければ勝ち。上位の生徒が枠を勝ち取ります。

また、大学によって最低基準が決まっています。さすがに最低基準が無いと、早稲田のような上位大学を希望した生徒がたまたま平均3.0でも受かってしまうからです(高校のオール3は成績下位です)。

上位校はだいたい4.0以上、中堅校は3.5~3.6前後のことが多いです。ギリギリでも基準を超えてさえいれば出願は出来ますが、他にライバルがいたら負けてしまいます。出来るだけ基準を大きく超えているにこしたことはありませんね。

校内選考を通ればほぼ確実に合格する

指定校推薦は、校内選考を通過すると、次に実際の試験が待っています。とはいえ、学力試験があることはまれで、多くの大学は面接と小論文がほとんど。

当然試験に向けて全力で準備をします。このときどうしても不安になるのが「ホントに受かるの?」ということ。

心配いりません。校内選考を通過したらほぼ100%受かります

理由は簡単で、そういう制度だからです。大学側は最初から受からせる前提で募集をしますし、高校側も受かってくれないと威信に関わるので全力のサポートをします。落ちるはずありません。

高校の先生は生徒を油断させないように、「落ちることもあるからな!」とたびたび注意をしてくると思いますが、スルーして構いません。元々指定校推薦を受けるような成績を取っている生徒なら言われなくても勉強すると思いますし。

まあ、「ほぼ」100%と言ったのは、完全にナメてかかって大学に対して失礼な事をすれば不合格になることもあるからです。600文字の小論文を200文字くらいで出したり、願書の志望動機すらまともに書かないなどの行為です。そりゃ受かるわけないでしょう。

指定校推薦のメリット

とりあえず、私も含めた親世代の常識である「ふつう大学は一般入試で入るもの」という常識は過去のものです。時代は変わっていますし、大学の序列も格差もかなり変わっています。指定校推薦は大学・高校・家庭・本人全てにメリットがあり、考えようによってはWin-Winの制度です。

ハードルが最も低い

詳しい解説は機会を改めますが、現在の大学一般入試はかなり激戦です。もちろんそれは名の知れた大学に限定されますが、大学を希望する人が積極的に受験するのはそういう有名大学でしょう。

先ほど挙げた4つの入試制度をハードルの低い順に並べると、指定校推薦、AO入試、公募推薦、一般入試の順です。

そのハードルの低さの理由は、何と言っても「学校の勉強が出来れば良いから」に尽きます。どんなにレベルの高い大学を受けるとしても、学校の勉強の善し悪しで決まります。早慶上智理科大を受ける場合、入試問題の難易度は学校レベルとは比較になりません。指定校推薦なら学校の成績のみが基準。余裕ですよね。

競争相手が少ない

指定校推薦以外の制度は、全て「全国の猛者たち」がライバル。この近辺の学校を挙げてしまえば、西湘高校から大学入試をするとき、敵は秦野、小田原、そしてそれ以上の連中です。高校生は他の高校の勉強がどんなものか知らないでしょう。ハッキリ言って、教科書のレベルから段違いですからね?

指定校推薦のライバルは、自分の高校の生徒のみ。しかも高校生の半分近くは放っておくと部活やバイトに精を出して勉強を最優先にしないですから、実質ライバルは半分くらいです。

私が指導している生徒はほぼ上位にいますが、塾からしてみたら、勉強法を教え、勉強のペースを細かく指示していますので、高校の成績は取れて当たり前です。

決まる時期が早い

指定校推薦は通常9月に出願して、10月に校内選考を通過します。先ほど説明したとおり、校内選考で受かればほぼ大学合格は確実。もっと言ってしまえば、高3の1学期の成績で資料は全てそろいますから、夏休み前には事実上勉強は終了しちゃいます。

とはいえ、大学に入ってからポテンシャルが落ちていては仕方ないので、勉強しなくて良いわけではありません。それでも受験のプレッシャーにずっとさらされ続けるよりは良いのではないでしょうか。

大学も早く真面目な生徒を確保出来ます。高校も生徒の進路を早く確定できます。保護者も2~3月までずっとやきもきする必要はありません。

何より、早々と受験のプレッシャーから解放された本人は、それまで2年ちょい頑張り続けて来たご褒美時間をもらえるのです。免許を取ろうが資格を取ろうが自由です。

受験料が安い

大学受験って、受けるだけで多大な費用がかかるんですよね。最近は同じ大学を何度も受けられるようにした受験料搾取システムもといチャンスが多いシステムになっています。気がつくと延べ10校を超え、受験料だけで20万オーバーとか、平気で起こります。

指定校推薦なら本命1点勝負ですから、受験料はミニマムです。浮いたお金で大学で使うPCでもねだっちゃうと良いんじゃないでしょうか。10万以上あればいいPC買えますからね。

冗談はさておき、一般入試は本当に多額の費用がかかります。受験料だけでなく、交通費や郵送費もバカになりません。それが最小限ですむなら、先々の生活に投資が出来ます。大学に通うには服も買わないといけませんしねぇ……

指定校推薦を受ける注意点

このようなメリットたくさんの指定校推薦ですが、いくつか注意点もあります。結構深い話で、1つ1つブログが書けてしまうくらい。そのうち掘り下げたいと思います。

成績の対象期間が広い

神奈川県の公立高校入試(とほとんどの私立高校)は、中2と中3の成績が使われます。だから、中1は適当に流しておいて、中2から本気出す、という人がリアルにたくさんいます(もちろんとんでもない勘違いではありますが)。

指定校推薦の対象となるのは、高1~高3夏までの評定平均です。すなわち、高1でコケようもんなら、その時点で勝負権を失います。

正直言って、この記事を書いている4月現在から狙わないといけません。だからこそこの時期にブログを書いているわけです。先行逃げ切りしないといけない制度ですので、情報不足は致命傷ですね。

高校によって受けられる大学が大きく異なる

高校のレベルによって、指定校推薦のリストに並ぶ大学のレベルにもの凄い格差が出ます。

トップ校は早慶上智理科大が何人分も枠が来ます。年によっては、誰も推薦に出願しないで枠が余ってしまうこともあります。これには理由があり、当然の現象です(そのうち解説をします)。

これが2番手校だと、早慶上智理科大はあって数枠、ほとんどがGMARCHに変わります。さらに3番手校だと、GMARCHは1~3枠くらいに減ってきます。もはや学年トップレベルじゃないと、GMARCHの推薦は取れないレベルです。

とはいえ、その代わり東海や神奈川大など、地元有名大学の枠がたくさん来ますので、出願する対象には困らないんですけどね。

入ってから大変な事もある

進路決定が早いため、油断をすると学力はどんどん下がります。

高1生はそろそろ後悔しているころだと思いますが、勉強しない期間が出来ると中高生の学力はガタ落ちします。高校入試後のたった1ヶ月程度遊んだだけで学力は地に落ちます。それが指定校推薦が実質決まる10月からとなれば、半年間もの間まともな勉強をしないことに。

もちろん学習習慣がついているからこそ指定校推薦を利用できる訳ですから、それを失わないように今まで通り勉強を続けておきましょう。さもないと、大学に入った直後いきなりついて行かれない事態に陥ります。

まとめ

たいていの高校生が指定校推薦制度をまともに理解するのが入学後しばらくしてから。そこまで存分に勉強して成績を取っていた人ならともかく、得てしてサボり気味の人ほど情報不足なんですよね。

ここまで読んでもらったら指定校推薦がどんなものか分かって頂けたと思います。案の定長い記事になってしまいましたが、この程度の情報収集さえ億劫に思うようなら、恐らく指定校推薦を受けるために必要な「周りが油断しているときに頑張れる根気」が欠けていると思います。

注意点はあれど、それを上回るメリットがたくさんある指定校推薦、周りの雑音はシャットアウトして、ぜひトライしてみましょう。

この記事を書いた人

富田 靖之
富田 靖之螢田教室責任者
指導歴そろそろ20年の理系担当講師。
一見クールそうに見えます(と自分は思っている)がそんな事ありません。
教室ブログはムダに長文が多いので、お暇でしたらご覧下さい。