「塾に通うメリットって何ですか?」
「塾は必要ですか?」

何度か、この様なことを聞かれたことがあります。
結論を言うのは簡単ではありますが、せっかくなので少々お付き合いいただきましょう。

学習塾の役割は?

学習塾の役目とは何なのか。

『生徒の得点を上げる』
『生徒の成績を上げる』

パッと思いつくのは、これらではないでしょうか。

ただ、私としては、これらは塾が目指す最終目標ではないと考えています。
私が考える塾の使命とは、『志望校に合格させる』『志望校以上の学校に合格させる』これです。

得点力や成績を上げようというのは、ただの過程にすぎません。
『けっきょく、それらを上げなければいけないなら同じでは?』そう思うかもしれないが、そうではありません。

むしろ、まったく違うと言ってもいいかもしれません。
得点が上がろうが、成績が上がろうが、志望校に合格しなければ、それらは何の意味もありません。

もちろん、力がついたことは素晴らしいことです。
しかし、「塾のメリットは?」「塾は必要ですか?」と質問してくる方々からしたら、「でも落ちたよね」「でも不合格だったよね」と、きっと不満に思うでしょう。

もし、その生徒に弟や妹がいた場合、はたして入塾させるでしょうか。『他の塾はどうかな?』などと思うのではないでしょうか。

逆に、得点や成績が変わらなくても、その生徒の力では厳しいのではというような志望校に合格できたり、目指していた学校より上の学校に合格できれば、「ありがとうございます」「良かったです」と、満足していただけるでしょう。
そう、生徒や保護者が塾に求めているもの、つまり学習塾がやるべきことは『合格』という結果を出すことです。

生徒達を指導する際は、『過程』の大切さを毎回のように伝えます。非常に重要なことではありますが、残念ながら我々に求められているのは『結果』です。

では、今年の結果は?

今年の入試、私個人としては完勝でした。
まさに塾屋の仕事をしたと実感しています。

生徒全員が第一志望以上の学校に合格できたことはもちろん、自分で言うのもと思いますが、その内容が素晴らしかったです。

今まで聞いたこともない県外の学校を受けたいといった生徒、学校の担任から「ほぼ間違いなく落ちるのに、何で受けるのか」と言われた生徒、志望校より2ランク上の学校を受けた生徒、バラエティーに富んだ面々ではありましたが、すべてクリアできました。

最も印象深かったのは、やはり学校の担任から「何で受けるのか」と言われた生徒です。

ちなみに、その生徒が合格した学校は西湘高校です。
今年の西湘は、かなり人気があり、最初の時点では114人が落ちるという高倍率でした。
この数字を見たら、ギリギリの生徒は志願変更して下げようかと思うのではないでしょうか。
まして、西湘より下の学校に願書を出していた生徒が、『よし勝負だ』と、上げてくることはないでしょう。

そんな中、私は志願変更させて挑戦させました。
本人は「友達がみんな合格して自分だけ落ちるのは嫌だ」
保護者は「期待しないで待ってます」
まあ、当然と言うか普通の反応だったと思います。

極めつけは中学校の担任です。
志願変更の手続きの為に中学へ行った際、「わざわざ落ちるために志願変更するなんてバカじゃないのか」というような内容のことを散々言われたそうです。

私がその担任に会えるなら、『可能性が無いと思うなら、この状況で西湘に志願変更させる訳ないだろ、バカはお前だ』と言ってあげたいくらいです。

私の生徒は、私の子供だと思っています。
自分の子供に、0%の勝負をさせる訳がありません。
もちろん、確実に合格できるという保証はありませんでしたが、『可能性はある』『勝負に行かなければ後悔する』と思っての指示でした。

最初の願書提出は、西湘ではありませんでしたが、この子の本当の第一志望は西湘だったと思っています。
入塾間もない頃、「どうしても西湘高校に行きたいの」と彼女が話していたのを覚えています。

入試が近づき不安になったのでしょう。
いつの頃からか、別の学校を受けると言うようになりました。

本人の口からは『西湘』という言葉は聞かれなくなりましたが、私は彼女の前で『西湘』以外の名前を言ったことは一度もありません。

別の学校の願書を書いていると聞いたときには、「いつでも西湘に願書が提出できるように、本人には内緒で準備しておいて下さい」と保護者にお願いをしました。

あとは可能性です。

泣かせる訳にはいきませんし、「どうしても・・・」と言っていたあの子の願いも叶えたい。

私が信じるのは、私のデータ、私が出した答えです。
何度も計算し、何日も考え、『勝負する価値はある』そう判断しました。

今までの入試で、これまでの生徒の中で、最も悩んだ結論でした。
それを理解し、私を信じ挑戦した生徒、挑戦させてくれた保護者には、心から感謝をしています。

私のデータ、答えとは?

今の時代、言わずもがな情報社会です。
簡単に入手でき、多くの生徒や保護者が我々と同等の情報を持っているのではないかと思います。

ただ、同じ情報を持っているからと言っても、同じ様な答えに辿り着くとは限りません。

ポイントは『活用』です。
その活用法が異なれば、結果は大きく変わります。

情報を持っているだけで、それを使えないという人もいるでしょう。
また、情報がありすぎて、どれが正しくどれが偽りなのか、どれを信じていいのか分からないという人もいるでしょう。

そう、ここが塾の最大の『メリット』『必要性』だと、私は考えています。

『上手く活用できれば塾に通う必要はないのか?』

極論そうかもしれません。
しかし、それは無理だと思います。

我々はプロです。

いくら教育熱心な保護者がいたとしても、皆様には皆様それぞれの仕事や、やらなければならない事があるはずです。その片手間でやるものと、我々が全力でやるものでは、必然的に質が違ってきます。

だから、私はアルバイトの講師が質問対応するだけの個別指導塾、これは不要だと考えています。もっと言えば、『とりあえず塾には通わせているから』という、親の安心感を満たすだけで、お金の無駄だと考えています。

普通にお仕事をされている方なら、その通勤時間に仕事の事を考えたり、休日家にいるときにもふと考えたりすることはあると思います。それと同様に、我々は、ずっと子供達のことを考え、見ています。

どこまで見ているのか?

例年、入試の5ヶ月前にあたる9月の時点で、私は生徒と保護者へ入試での予想得点を伝えます。
何点くらいと幅を持たせてではなく、500点満点中で『何百何十何点』と1の位までキッチリと伝えます。

「だから、志望校合格には内申をいくつにする必要がある・・・。」
「だから、11月にある最後の定期テストで、この教科とこの教科は・・・。」

この様な話をします。

もちろん、入試5ヶ月前、まだ入試に向けて勉強も始めていない段階ではじき出すのは容易ではありません。

ただ、これもデータの活用の1つです。

中1の頃からの得点状況やその子の性格、志望校へ対する思いの強さ、そして過去の生徒たちのデータ、それらを基に絞り出します。
考えるという言葉より、『絞り出す』、この言葉が当てはまると思います。

『それらを基に絞り出す』と言葉で言うとあっさりですが、公式がある訳でもなく最も苦しい作業の1つです。

では、肝心のその精度は?
今回このように書かせていただいている訳ですから、もちろん自信ありです。
今のところ、5点、10点のブレですんでいます。
2年前のある生徒は、たった1点の違いでした。
あの時は、あまりの精度に笑ってしまいました。

これがプロの仕事です。
ここまで生徒達を見ているのです。

では、これがアルバイトの講師にできるでしょうか。
だから、アルバイトの講師が質問対応するだけの個別指導塾はお金の無駄だと、前記したのです。

プロの仕事とは?

S値、この取り扱いもデータの活用でしょう。
入試間近になれば、自分の得点を予想して誰でも計算はできます。
模試を受ければ、合格率何%などとも書いてありますし、データ集やインターネットを見て、学校ごとの予想S値を調べることもできます。

ただ、できるのはそこまでです。

本当に知りたいのは、何%ではなく受かるか受からないかです。
特に、ギリギリのラインの生徒や保護者からすれば、合格率が何%なんて必要はないと思います。

その様な生徒が求めているのは、『下限』、『デッドライン』でしょう。
この『下限の見極め』も、9月時点で入試得点を予想するのと同じく、苦しい作業です。

我々には『結果』が求められているので、ここで外す訳にはいきません。
西湘高校に挑戦させた生徒も、これに何日も時間を使いました。
志望校より2ランク上の学校を受けさせた生徒も、これを基に話をしました。

もちろん、それだけ背伸びして入学しても、ずっとビリの方では勉強に対するモチベーションが下がってしまいます。その子の性格などを考え、『入り口はビリでも、入ってしまえば勝負になる』と判断したからのことです。

高校入学後は?

『入り口はビリでも、入ってしまえば勝負になる』

高校入学がゴールではありません。
その先に見ているものは、指定校推薦での大学進学です。

その為には、高校入学後の成績が悪くても困るし、ヤル気が無くなっても困ります。
この子なら大丈夫、そう判断したからの誘導でした。

学習塾は必要なのか?

『志望校に合格したい』
そう切に願う生徒達にとって、やはり学習塾は必要だとして確信しております。