各高校の第1回テストが続々と終了しています。特に高1生にとっては入学後初の定期テスト。果たしてどんな問題が出てくるのかワクワクしながら(むしろビクビクしながら?)受けたことでしょう。

高1の最初のテストは「まだ」中学校の学力が大きく影響します。各科目の内容もまだ牙をむいてきませんし、英語みたいにジワジワと蝕んでくる科目は現段階で「全然わかんない」ということは無いと思います。次のテストあたりで「あれ?なんかおかしいぞ」と感じるでしょうけど。

しかし、高校生の勉強方法としてふさわしくないやり方をしていると、次回のテストで大きく得点を落とすことになります。最初のテストを終えたこのタイミングで反省をしてみましょう。

テスト2週間前から勉強開始

中学生の試験勉強と言えば、テスト2週間前からが定番です。実際の作業量的にもそれで過不足ありませんし、充分結果を出すことが出来た人は多かったんじゃないでしょうか。

いやいや、1週間前からしかやらなかったよ、という人もいるかもしれませんが、それでベストな結果が出ていたとも思えません。恐らく部活動に大変熱心で、部活停止になるタイミングで重い腰を上げていたんじゃなかろうかと想像します。そういう子に限って、なぜか普段やりもしない机の掃除とか始めちゃったりするんですよね……おっと、話が脱線しました。

高校生の試験勉強は、2週間前から始めて終わるような分量ではありません。

私の専門である理系を例に取るならば、数学の問題集はおおよそ20ページ程度が範囲になるでしょう。しかし、中学校時代と違うのは、ワークの質とレイアウトです。ほとんどの高校生が学校からもらう問題集は、問題がビッシリと詰まっています。中学校のような、書き込み式の問題集を使っている高校は、偏差値50未満の高校に限られます(このレベル帯の場合、書き込み式でも大きな負担に感じます)。1ページあたりの問題量は軽く3~4倍になるでしょう。

また、1問にかかる時間も比較になりません。1問解くのに10分消費は当たり前。当然テスト勉強中は全然仕上がっていないので、本来かかる時間より多くかかります。参考書を調べたり、解説を熟読したり……時間はいくらあっても足りません。

暗記科目はなおさら時間がかかります。暗記のポイントは繰り返し回数ですが、2週間前から覚え始めても2周出来るかどうか。完全な定着にはほど遠い仕上がりになります。

ここはプラス1週間が必要です。理想的にはテスト3週間前から取り組み、1回目で出来なかったものに対して充分な練習時間が残るようにしておきたいところです。

もっとも、普段の勉強量が多い人にはかないません。また、授業中に理解が進んでいた場合、テスト前に余計な時間、例えば覚え直したり、基礎問題を解いたりしなくて済むので、テスト勉強そのものの量を大きく減らすことができるでしょう。

読むだけ暗記

中学校と異なり、高校は問題集があまりありません。学校によって多少の差はありますが、英語のCEの問題集がある高校は半分ほどです。社会に至っては、日本史だろうが地理だろうがほぼ問題集とは無縁です。そういえば今年の生徒で地学の問題集を学校で配布されたケースがありましたが、長年指導している私が初めて見たくらいですから、相当なレアケースです。

問題集が無ければどうすれば良いのか。普通は「よし、書店で問題集を買おう!」となるのでしょうけど、信じがたいことに書店で問題集や参考書を買ったことがない高校生は山のようにいます。そういう人は肝心なテスト前に解く問題がありませんから、プリントをひたすら覚える作業に取りかかります。

それは仕方ない面もありますが、プリントを覚えるとき、ただ読んでいるだけという人が少なくありません。もちろん読むだけでもちゃんと暗記できますが、それには少なくとも5回は適切な「間」をあけて読み込む必要があります。

2~3回読んだだけで勉強した気になってしまうと、テストで覚えたはず(覚えてません)の答えが思い出せません。また、プリント通りの穴埋めならともかく、「○○について説明せよ」「△△について論ぜよ」なんて問題で撃沈してしまいます。

読むだけではアタマにかかる負担が少なすぎるのが原因です。覚えたいものは隠すのが基本。暗記マーカーを使うなり、ふせんで隠すなりすると良いでしょう。

解答を広げながら解く

理系科目、特に数学にありがちですね。問題集の分厚い解説を広げて横に置き、チラチラ見ながら解くのはやめましょう。解答を参考にしながら解くと効率よくスラスラ進むと感じますが、その分頭を使う頻度と深さが下がります。解答を参考にする=解答を写すのと変わりません。

意外と理系の生徒に多いんですよね。彼らは途中の記述の重要性を知っているだけに、解答の記述をそのまま再現しようとします。それが行き過ぎて解説を広げる暴挙に出るのです。別に解説そのままに書けなくても、つじつまが合っていれば良いんですけどね。

まず、解説は閉じておきます。自分で解き進めていき、どうしても何をして良いか分からなくなったら、仕方なく解説を読みます。このとき、解説を写す必要は全くありません。読むことに専念します。

次の流れを理解出来たら解説を閉じ(ここ重要)、また自分で答案を書いていきます。途中で何度もつまずいたら、これを繰り返しましょう。

そして、一度でも解説を見てしまった問題は、必ずもう一度解きます。テストは100%自力で受けるもの。問題練習時点で自力で解けない問題を本番で出来るはずがありません。解説の力を借りてしまった問題は自力とは言えませんので、やり直しです。

これを勘違いしてテストを受けるから、本番でコケるんです。

「勉強したのに出来なかった」の理由はコレが原因だと思いますよ。最初から最後まで自力で解けるようにしてからテストに臨めば、少なくとも勉強した問題はクリア出来るでしょう。

解説を読まない

先ほどの例は、まだ解説を読んでいるだけマシ。ひどいやり方の高校生になると、答えだけ合ってたらOKという扱いで次に進んでしまいます。

解説を読まない科目ランキングでいうと、現代文,英語,歴史,生物が上位に来ますね。さすがに数学や物理などの科目は解説無しでは死んでしまいますので、いやいや目を通すようです。

高校の内容は、一見暗記科目と思いがちな世界史や生物ですら、ただの用語暗記では歯が立ちません。もちろん大量の暗記は必須です。ただ、上っ面の言葉だけ覚えていては、実際の問題は解けないでしょう。そこで解説をじっくりと理解することによって、ただの知識だけではない強固な基礎を作るのです。

また、高校生の勉強レベルになると、答えは合っていても途中の考え方が違うものがちょいちょい登場します。これらは本来「出来ないモノ」扱いです。なぜなら、それはたまたま合っていただけであり、答えを出す根拠があいまいなので、ちょっと問題が変わると不正解になります。

そこで必要なのは、解説をじっくり読んで理解すること。
そして、解説の内容と自分の考え方が一致しているのを確かめることです。

簡単に出来たように感じる問題ほど、油断できないということですね。この習慣の有無でジワジワと力に差がついてきますよ。

スマホを机に置く

まあ、言葉は悪いですがアホだとしか思えません。その時点でかなり依存していますね。

机に向かうとき、スマホは通知に気づかない状態にしておきましょう。見る、見ないの問題ではなく、通知が来たことすらジャマになるからです。

机にスマホを置くと、あらゆる通知が来ます。多いのはLINEなどのSNSでしょう。通知が来ても見ないと考えていても、何かメッセージが来ている事が分かってしまうと、誰だって気になります。それを我慢している状態になった時点でもう勉強だけに集中できていません。

部屋の外に置くなり、電源を切るなり、確実にシャットアウトして勉強に臨まないと、勉強時間よりスマホをいじっているor気にしている時間の方が長くなります。

私も仕事をする際、スマホは近くに置きません。私はスマホに限らずデジタルガジェット中毒なのは自覚していますので、自ら積極的に遠ざけています。逆に家事をするときは集中する必要がないのでiPadでドラマ見ながら料理したり掃除したりしています。大人ですらこの依存ぶりです。中高生は……ある程度強制力が無いと勉強になりませんね。

調べ物は電子辞書にしましょう。その方が余計な情報がない分、ピンポイントで目的にたどり着きますよ。

まとめ

高校のテストは、中学校のようにやった分だけ得点が上がるほど単純ではありません。その代わり、勉強を正しくやっている人の割合は少ないですので、上手くやると他の人と大きく差をつけることが出来ます。

ここに書いたダメ習慣に全くあてはまらない、という人は本当に少ないと思います。高校生の指導方針は、まずこのダメ習慣を無くすところからスタートしています。これらが全部良い方法に切り替わったときには、ほとんどの生徒が学年上位に入っているという状態です。

それだけ高校生は勉強法に関する知識が乏しく、また調べてもなかなか実践しないんですね。きっとこの記事を読んだ人も、大半の人が「ふーん」と思いつつ、実行はしないでしょう。

私の指導している生徒は直すまでネチネチ言い続けているので、そのうち必ず結果に繋がっていきます。今回のテストもまだ出そろっていないものの、みな過去最高点を更新して、中には学年トップに迫る勢いの生徒もいます。

ぜひダメ習慣を撲滅して、学年上位を目指していきましょう。

この記事を書いた人

富田 靖之螢田教室・板橋教室責任者
指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。