私が担当している数学の授業では、宿題ノートを一人一人チェックしています。ちなみにこのノートチェック、塾としての対応では無く、単に私の個人的趣味です。

クラスの人数が多いところはその日のうちに返すのは難しいため、回収します。でも、彼らは次回の授業までに宿題をやらなければならないため、ノートを2冊持ちしています。おかげでジックリとチェックできるというものです。

クラスが12名以下だから出来る事ですし、私が直接指導するからこそ可能なんですよね、これ。その効果もあるのか、入塾してきたときには片っ端から数学が10点台だった(ひとケタもいましたが)子たちが、何とか平均点を越えるまでになってきました。それはそれは地道な指導です。

ノートチェックのねらい

ノートチェックを始めるときも「効果はありそうだけど大変そうだなあ」なんて思っていましたが、実際にやってみると想像をはるかにぶっちぎるくらい手間がかかります。

でも、数学はただ宿題を出して、ただやってあるのをチェックしてるだけでは全然伸びない科目。もちろん自分で真面目に取り組める子ならきちんと成果が出るのでしょうが、そこは中学生、ちょっと目を離すとズルい方に逃げてしまいます。無理からぬ事です。

実際、ノートチェックで何を見ているのか、そのねらいを紹介してみましょう。

やってあるかどうか

最低限、きちんと全範囲の問題に触れているかどうかをチェックします。全問見ているので、1問でも足りなければ気づきます。

まさに昨日も宿題チェックしたら、1ページ抜けている生徒がいました。宿題を間違えてメモしたのかと思ってチェック表を見せてもらったら、きちんと書いてありました。これは故意ですね。一番面倒な計算問題が抜けていた時点で忘れたわけではないのはモロわかりですが。

案の定、確認テストの出来は他の生徒と比べて散々でした。全く授業通りに出来ていません。学校で習っているところならともかく、塾で授業を受けただけで1週間放置してしまえばゼロになってしまう、典型的なパターンでした。

ちなみに、宿題が提出になっているので、「家に忘れました」は通用しません。当然自宅に取りに帰ってもらいます。せいぜい往復30分というところでしょう。忘れたノートを回収してくるだけですからね。

まあ、家に忘れましたなんて良いわけをする生徒の9割は宿題をやっていないので、戻ってくるのにとんでもない時間がかかります。見え見えのウソなんてつかない方が良いんですけどねえ……

解き直ししてあるか

宿題で間違えた問題は、解き直しをするよう指示してあります。解き直し=自力で解くことです。

そのために解答や授業ノートをよく読み直し、理解する必要があります。その後、解答を閉じて完全に自力で解き切れればOKです。

ところが、間違えた問題に答えだけ書き込んであったり、解説をそのままペンで写したりしている生徒がいます。ひどいものになると、解説をあたかも自分の答えのように書いているケースも。

問題集の解説を写すとすぐに分かります。理由は……生徒には伏せておきましょうか。

どうしても分からない場合はどうすればいいですか?と生徒に聞かれるので、必ず授業前に質問するよう指導しています。

指示通りの方法でやっているか

宿題に限りませんが、問題の解き方、途中式の書き方は授業通りにやるよう指導しています。この点はかなり重視しており、言うことを聞かない生徒にはかなり厳しく注意しています。

学校の授業では得られないコツや解き方、ミスをしにくい方法などを考えた上で教えている解き方ですので、その通りにやらなければ塾に来ている意味はありません。

もちろん型どおりに方法が身について、ほぼほぼ間違えなくなってくればある程度自己流にしても良いと思います。優しく言うと、自分に合った方法にフィットさせるといったところでしょうか。

宿題で間違えているのも、たいていは授業中と違うことをしているからです。授業中に出来ているのは確認しているので、そこからねじ曲がってしまうんですよね。

丸付けをミスしていないか

丸付けのミスは2つのパターンに分かれますね。

素で間違えている

バツのものをマルと書いてしまう、これを素で間違えている場合は、ケアレスミスが極端に多くなります。

細かいところに目が届かない。瞬間的な読取りが出来ない。この2つが間違える原因であり、これらはそのままケアレスミスの原因と同じなんですよね。

答え合わせを慎重にミス無くこなせるようになると、自然とケアレスミスが減ってきます。

だから、これを見逃すわけにはいきません。しっかり見つけてあげて、細かいところに気を配る習慣をつけさせなければいけません。けっこう時間がかかりますが、何度も言い続ければじわじわ改善していきます。

わざと間違えている

こちらは、バツのものをわざとマルと書いているパターン。非常にタチが悪いです。

要は解き直しをしたくないからそうしているんでしょうけど、こういう子は絶対に伸びません。なぜなら、せっかく解き直しすれば解けるようになる可能性がある問題をみすみすお蔵入りさせてしまうからです。

例を紹介しましょう。私が担当している中で一番数学が苦手な子のノートです。

宿題ノートの例

途中で間違えているのにマルがついている

この問題、答えは確かに合っています。ですが、1つ手前の式の50xには元々マイナスがついておらず、そのまま計算するとx=-32になるはずです。それがなぜかx=32になっています。ちなみにそこに書かれたマイナスは、私が青ペンでつけたものです。

ここから予想されるのは、答えを見ながらやっているということ。解説を参考に(笑)計算していったら符号がおかしくなったけど、答えはx=32だからそう書いておこう。見た目はマルになるしね。といったところでしょうか。

ノートチェックを雑にやった場合、完全に見過ごすパターンです。これじゃ塾に行っている意味がまるで無い。それを見逃さないためのノートチェックなのです。

当然この生徒はお説教確定です。もちろん頭ごなしに叱るのでは無く、なぜこれではいけないのか諭していきます。この悪癖がすぐに直るわけではありませんが、何度も繰り返し話をしていくことで、真意を理解してもらうしかないのです。

具体的な指示を飛ばす

たとえちゃんと解けていてもコメントを残す場合があります。

例えば、計算処理がほぼ確実になってきたので、途中式の一部を省略するように促すことがあります。真正面から計算をしていると、やはり時間の壁にぶち当たります。効率良く解いていくためには、途中式の手間を削る必要がありますが、それは生徒の出来を見て判断してやる必要があるのです。

また、吸収できそうな生徒には、より手早く解けるような別解を書き残す事も多々あります。授業自体はベーシックな内容を扱っているので、出来る子をより高いレベルに引き上げるため、宿題ノートを通じて個別に対応しているというわけです。

まとめ

授業の内容はノートに残っているし、授業中に解かせた様子も見ているし、表情から理解をしているのも分かっている。それでもすぐに解けるようになる訳ではない、それが現実です。

授業から1週間、野に放ってしまえばインプットした内容も薄れますし、型からはどんどんはみ出ていきます。それを再びインプットしてやるのも、型にはめ直してあげるのも我々の役目。ノートチェックはそのチェック機能として地道でありながら確実な方法です。

ウチの塾のような小規模な人数でやっているからこそ出来る事であり、大きなアドバンテージだと思っています。私は分かりやすい授業をする自信はあれど、その授業だけでグイグイ伸ばす自信は全くありません。全員を確実に伸ばすには、ノートチェックのようなアナログな作業が必要だと思っています。

ある意味生徒と交換日記をしているようなものですね。中身は数式ですが、彼らの考えているプロセスが伝わってきますし、私の方針を伝えることも出来ますしね。

とりあえず手元のノートチェックが全部終わった開放感の勢いで書いた記事でした。また来週も再来週もがんばります。

この記事を書いた人

富田 靖之
富田 靖之螢田教室責任者
指導歴そろそろ20年の理系担当講師。
一見クールそうに見えます(と自分は思っている)がそんな事ありません。
教室ブログはムダに長文が多いので、お暇でしたらご覧下さい。