気づけば2018年も終わりが近づいています。

とはいえ塾業界は高校入試が一日また一日とせまってくるので、一年を振り返る余裕もないのが現状です。

さて、当学院に所属する中3生はこれまでに2回、神奈川県公立高校入試を模したテストを受けているのですが、その得点を見ると国語の出来に大きな差があることに気づかされます。

その原因や理由は各個人で異なるのでひとまとめにして述べることはできませんが、上位に位置している生徒に共通しているのは初見の文章への対応力が高いことだと思います。

当たり前すぎるくらい当たり前です。入試で出題される文章は教科書に載っているものではありませんから。大多数にとっては初めて読む文章に対して問題が出されるのです。そこで「初めての文章にどう対応するか」という術を知っていることは知らない人に対して大きなアドバンテージを得るでしょう。

初見文章への対応力

学校の定期試験では基本的には教科書にある文章から出題されます。ですから、穴が空くほど教科書を読み、話や論の展開を理解、記憶すれば試験で点数をとることは(入試と比べれば)簡単です。しかし、そうした経験しかしてこなかったならば、初見文章に対する対応力は皆無に等しいです。

初見文章でもスラスラ解けている人はどう解いているのでしょう。

国語が得意、武器だと思っている人の多くは、文章の種類を問わず、自分の解き方を身につけ、それに沿って解いているはずです。

私が国語の問題を解くときは次のような点に気をつけながら解いています。①「段落ごとにまとめながら読む。」②「指示語が何を指しているか意識しながら読む。」③「問題を解くキーワードを考えながら読む。」④「自分が理解しやすいように簡単な言葉に言い換えながら読む。」などです。文章のジャンルによって変える細かい部分は除きますが、この4点を意識せずに問題を解くことはありません。

「いつも同じ方法で解く。」その方法を確立することが国語を得点源にする第一歩だと私は考えています。

では、そうした対応力をつけるのに何が必要か。第一に初見文章を目にする機会が多いことと第二に様々なジャンルの文章に触れることが挙げられます。

この二つは単なる読書では得にくい体験です。読書は個人的な楽しみをベースにしていますから、どうしても選ぶ本のジャンル、内容に偏りがうまれます。そうすると初めて見る文章でもなんだか読んだことがあるような、一種の既視感を感じると思います。その既視感は同じような内容、ジャンルの問題を解く上ではとても有効です。「きっとこんな展開になるんだろう、ああやっぱりね」といった具合に。しかし入試で自分の好みの文章がでるかは運次第、一種のギャンブルです。

そうした個人の好みとは全く関係ない、ジャンルも問わない文章に触れることができるのが塾の強みだと思います。

そしてその経験を通じて、初めての文章に対して動じない図太さを身につけさせるのが塾における、国語の役割の一つだと思います。

だから冬期特訓は初見文章を読み、解く練習に特化します

普段から機会があれば教科書にない文章も扱ってはいますが、冬期特訓では初見文章のみを扱い、どうやって初めて見る文章を料理するかに特化して授業を行います。中学生の場合は、教科書の文章も扱いますが、基本的に予習内容になるのでやはり初見文章が主となります。

初見文章を読むときに気をつけるポイントや、内容を理解しやすくするための問題文や言葉の知識の活用法などそれぞれのレベルで必要なものにしぼって扱っていきます。

短期間での講習ではありますが、高校入試、果ては大学入試をみすえてじっくりと初見文章への対応力を鍛えてもらいましょう。

この記事を書いた人

陌間 和将
山王教室の責任者・国語の教科責任者を担当しています。
日常の授業を通して考える習慣を身につけてもらうべく、様々な仕掛けを凝らして授業をしています。