公立中の中学生は全員が同じ内容を学習しますが、高校になると主に「理系」「文系」というようにクラスが分かれ、ある程度偏った内容を勉強するようになります。

ではこの「理系」やら「文系」やらは何をもって決めているのかというと、ほとんどの人が「数学が出来るor出来ない」ではないでしょうか。まあそれだけ得意・不得意が分かれやすい科目なのは確かなんですけど。

しかし高校で指定校推薦を狙うなら、下手に「私は文系だから」「俺は理系だし」なんてレッテルを貼らない方が良いでしょう。それが成績において致命傷になってしまうこともあるからです。

高2になってしまってからでは遅いので、高1のうちに偏った意識を持たないようにしていきたいものですね。

4つの進路選択

多くの一般的な高校生が理系・文系に分かれるとき、次の4パターンになることが多いようです。

積極的文系,積極的理系,消極的文系,消極的理系の4つです。名前は私が適当に付けています。

積極的文系

文系科目である「国語」または「社会」が得意で、将来的にその勉強をしていきたいと考えているパターンです。

科目の性質上「暗記」の負担が非常に大きいのが特徴ですが、それぞれ自分なりの暗記方法を確立している人が多いようですね。

また、興味があるのも暗記の助けになるので、比較的暗記にネガティブでは無い人も多いです。教科書や資料集を読書のごとく読み込み、自分で調べることで更に知識を広げていく、まさに理想ですね。

積極的理系

理系科目である「数学」または「理科」が得意で、将来的にその勉強をしていきたいと考えているパターンです。

論理的思考能力が要求されるので、考え続けることに負担を感じない人が向いています。

いちいち物事に理由を求めるため、結果よりプロセスを重んじる、まさに数学の証明問題のような思考パターンを持っている人が多いです。

消極的文系

理系科目の中でも特に「数学が苦手」という理由で、文系に行かざるを得ないパターンです。

ものすごい偏見ではありますが、私の観察する限り文系の生徒の7割以上はこれに当てはまるでしょう(個人の感想です)。

理科は多少苦手でも分野が4つあるため、逃げ道が存在します。一方数学は逃げようがありませんので、数学が苦手な時点で理系に進む道は閉ざされます。

消極的理系

文系科目の中でも特に「古典が苦手」という理由で、理系に行かざるを得ないパターンです。

また、文系科目は暗記の負担が猛烈なイメージがあるため、暗記に後ろ向きな学生もこちらへ流れるでしょう。何しろ理系科目の暗記事項の少なさといったら、文系の比ではありませんし。

ただ、消極的文系の人たちの比べると圧倒的に少数派ではあります。暗記が苦手でも数学が得意とは限りませんから。

指定校推薦に有利なのは「積極的」派

指定校推薦のポイントは評定「平均」をいかに高くするかということ。これに尽きます。

「平均」を高くしようとしたとき、苦手科目が無いことが圧倒的に有利に働きます。つまり、この制度にマッチしているのが「積極的文系/理系」のグループなのです。

彼らは何かが苦手だからという理由でコースを選んでいません。苦手科目が無いということが指定校推薦にこれ以上無いほど大きな武器になります。

「消極的」に文系や理系を選んでいる場合、苦手科目が得意科目を食いつぶします。いくら得意でも成績の上限は5。苦手科目で3を取ってしまったら、結局平均は4にしかなりません。評定平均4.0では大した選択肢は得られません。

ウチの生徒に多いのが、積極的文系です。数学が出来るのに文系に行く選択をすると、ライバル不在のヌルゲーと化します。

高1の間は捨て科目を作らない

理系や文系の選択を「消極的」に行うしかない学生は、安易に捨て科目を作ってしまいます。

その理由は、決めつけの意識です。中学校のときに数学があまり得意では無かった場合、本人が「私は文系だからしかたない」という諦めの意識になってしまいます。マイナスな意識で授業を受けていると、知らず知らずのうちに説明をブロックしていますので、あげく「何言ってるのかよく分からない」となりがちです。

実は高校数学と中学数学は若干要求される能力が異なります。いち早く高校数学に対応すれば、たとえ中学校のときに数学がイマイチでも見違えるように得点を取れます。

私が指導する高校生は、数学が入試で4割に満たなかったとしても、高校では9割以上をとり続けている生徒ばかりです。私が上記のような声がけを続けているので、変な苦手意識や決めつけをしなかった結果です。

たとえ文系に行ったとしても、数学がネックにならず、むしろ得点源として大活躍してくれるという寸法です。

まとめ

一般入試は私立なら多少の苦手科目があっても受験で使わないので問題ありません。

一方指定校推薦を受けようとすると、いかに長所を伸ばすかより、いかに苦手科目を作らないことの方が重要です。評定平均で勝負する以上、いくら頑張っても成績は5で頭打ちですから、苦手科目で3を取ってしまわないようにすることが大事でしょう。

その苦手科目は自分の意識が作り出していると言っても過言ではありません。中学校の勉強をもとに自分に対してレッテルを貼ってしまう。これは大変もったいないことです。高校の勉強と比較すると、ぶっちゃけ中学校の勉強はただの暗記ゲームみたいなものですからね。

まずは高1生の皆さんは、フレッシュな気持ちで全ての科目に臨みましょう。「苦手そうな」科目はより意識を高めて努力をすることで、本当の意味での苦手科目にならずに済むかもしれません。

その結果、理系か文系かを積極的に選べるようになるでしょう。ぜひ、自分から「こちらがいい」、とコース選択を出来る身分になりましょう。選択肢がないのは辛いもんですからね。

ちなみに私は「消極的理系」でした。センター古文0点はダテではありません。

まあ、反面教師と言うことで。

この記事を書いた人

富田 靖之螢田教室・板橋教室責任者
指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。