つい先日まで満開だった小田原の桜もすっかり散り失せて、街並みも少しずつ夏に向かって加速し始めました。

今春、小学校を卒業し中学校へ入学した新中学1年生にとっては、この時期新しい学校生活や人間関係に慣れていくことに手いっぱいで、不安な部分も多いことでしょう。

そうこうしているうちに今週半ばからはいよいよ授業が始まり、本格的な中学校生活が幕を開けます。なかでも小学校では本格的に触れてこなかった英語は、授業の受け方、勉強の仕方などわからない部分が多く、気づくと苦手科目になっているなんて話もよく耳にします。

そこで今回は中学英語に対する不安が少しでも軽くなるように、中学英語で失敗しないための3つの心がけについてお話ししようと思います。

何のために英語を学ぶのか

本題に入る前に「何のために英語を学ぶのか」ということに関して、少しだけ個人的な考えを述べておきたいと思います。

英語は「新たな情報入手の手段」「新たなコミュニケーション手段」を獲得するために学ぶと私は考えます。

英語は話者人口が世界一で、世界で最も影響力のある言語だと言われています。母国語(第一言語)として使われるばかりでなく、たとえばアジア人どうしが英語でコミュケーションをとるなど国際共通語としての役割も持っています。

話せば長くなりますのでこの辺りの話はまた別の機会に触れたいと思いますが、これから英語を学び始めようという子供にはどうか「新しい世界の扉が開くんだ、この世界がさらに広がりを見せるんだ」というイメージをもって学んでもらいたいと思います。

一昔前までならば、英語学習は学校のテストで高得点をとるレベルの学習で十分でした。

ところが今は違います。その先を見据えた、言うならば「生活していく中で英語を使っていく」ことを前提にした学習へと局面は動いています。実際に小田原城の周りを小一時間歩けば、どれほどの外国人旅行者が日本を訪れていることかお分かりでしょう。

今の子供たちが大人になる頃には「グローバル化」という言葉自体が時代遅れとなり、「英語は使えて当たり前」という状態がスタンダードになる日が来るのではないでしょうか。

そのための基礎になるのがまさに「中学英語」です。

以前、ネイティブの先生に「日本の中学英語をマスターすれば日常のコミュニケーションには困らない。逆に日本の高校英語はちっとも役に立たない。あんなのだれも使わない。」と言われたことが今でも頭をよぎります。そうです、難しい英語を学ばなくても良いのです。「中学英語」にはそれくらい英語という言語のもつエッセンスが満載なのです。

では実際にどういう心がけをして「中学英語」に触れていけばいいのでしょうか。

心がけ①「英語は機械的に暗記するな」

英語をはじめ文系科目は「暗記科目」と言われていますが私はそうは考えません。なにはともあれ仕組みを「理解する」ことが何よりも重要だと考えます。

もちろん最低限の暗記は必要です。英語に関して言うならばアルファベット各文字のもつ音「フォニックス」の暗記は不可欠だと考えます。うちの塾でも、中1生にはまずフォニックスを徹底的に叩き込みます。そして自分の知っている数少ない英単語が「フォニックス」という見えないルールで成り立っていたという事実に気づかせます。そして、その気になれば自分の力で知らない英単語も「読める」という自信をつけさせています。

「milk→ム+イ+ル+ク→ミルク、あ!ミルク!」と、自分の力で英語を読んで、意味を理解できた子供たちの顔はなんと生き生きとしていることでしょうか。

一方、文法は「動機付け」と「理解」が必要です。まず「どういう時に必要な表現か」という動機を伝え、「使いどき」をはっきりさせること、そして「なぜそうなるのか」という「なぜ」の部分を明確に説明して、子供に「理解」をさせることが重要なのです。

そうすることで、ひとつひとつのルールにしっかりと根を生やしていき、少しのことでは忘れない、しなやかで強い英語力を養えると考えます。

実際、今の神奈川県の公立高校入試のレベルは英語に限らず「なぜそうなるのか」をきちんと説明できるレベルにまで仕上げないと通用しなくなっています。たしかに中学英語は機械的な暗記だけで強引に押し切ることも可能でしょう。しかしその先がありません。高校英語で必ず挫折します。圧倒的物量に押しつぶされています。中学ではあんなに得意だった英語が一転、苦手科目になんて話もよく耳にします。

心がけ②「日本語にないルールは要注意」

さらに日本語との違いにも着目できると良いでしょう。

例えば、大きいところで言うと「英語は日本語に比べ語順に融通がきかない」ということ。日本語で並べ替え問題などあまり目にしませんよね。語順にうるさい英語だから出題できる形式です。

また日本語には存在しない英語特有のルールにも注意が必要です。

中学1年生で言うと「冠詞a,an」や「三単現のs」です。ミス多発地帯です。「日本語にないルールは要注意」と思っていてください。

テストでもばんばん出題されます。日本語にないルールこそ丁寧な説明と十分な理解が必要です。付け焼刃ではすぐにメッキが剥がれます。

心がけ③「毎日英語に触れる」

英語習得の鍵を握るのは「時間の確保」です。とにかく1日10分でも構いません。毎日英語に触れましょう。

母国語である日本語と異なり、英語は生活の中で使い続けるわけにはどうしてもいきません。もちろんそうした環境を作り出せるのならばそれに越したことはありませんが、ほとんどの生徒は授業中に触れるだけの存在になりがちです。
そうなると定着するものもなかなか定着しませんし、きちんと理解できていたものも使わなければ忘れてしまいます。

「読む」「書く」「聞く」なんでも構いません。続けていきましょう。

また、テレビや音楽、人との出会いなど勉強とは違う形で「学習した内容」に出会うと記憶は一層強化されます。

おまけ「恥ずかしがらずに真似をする」

最後になりますが、「恥じらい」という日本人の美徳とも言える繊細さが英語学習の最大の敵かもしれません。

私も決してネイティブのように正確に発音できるわけではありません。ですが、もともと英語と日本語では口や舌の動きが違っていて、それにともなって発達している筋肉が違っていると割り切っています。うまくできなくても恥ずかしがらずに真似をする。そうして使い続けることにこそ意味があるのではないでしょうか。

テレビで活躍する外国人タレントの話す日本語に「日本人ではないな」という多少の違和感は感じても「何を言っているかわかならい」と思うことはありませんよね。たどたどしくて当然です、ネイティブではないのですから。うまく話そうとすることよりも言いたいことをきちんと伝えることのほうが重要です。英語に限らず言葉で気持ちを伝えるとはそういうものではないでしょうか。

最後は横道に反れてしまいましたが、一人でも多くの中学1年生が英語を楽しんで学べることを願っています。

この記事を書いた人

加藤 正和
足柄駅前教室責任者/文系科目担当/時事モンGOの中の人

・「熱しにくく、冷めにくい。」一度火が付いたら止まらない性格。
・「書けそうで書けない絶妙なポジションの漢字」を探すのに夢中。

ユーミンとサザンとミスチルと中島みゆきとももクロをこよなく愛しております。でも最近のヘビロテはヒゲダンです♪
ビールと日本酒をこよなく愛しております。
したがって、カラオケと居酒屋をこよなく愛しております。

めったにブログ書きませんが
筆無精の「全力」をご覧ください。