気になるデータ

ご紹介したいデータがある。

A高校 127.4  98  131
B高校 116.7  84  124
C高校 110.9  83  111
D高校 106.2  61  112
E高校 107.7  75  111

これは、それぞれの高校の『合格者平均』『合格者最低』『不合格者最高』の内申点である。
神奈川県下全生徒のデータを確認できるわけではないので、あくまでも私が確認できた範囲でのものである。

弊害

『合格者最低』と『不合格者最高』を見ると、各高校で30から40も高い内申を持った生徒が、不合格になっていることが分かる。
5校の中で最も差が大きいD高校では、61の生徒が合格しているにもかかわらず、何とその倍近い内申を持った112の生徒が不合格になっている。

また、『合格者平均』と『不合格者最高』を見ると、5校とも『合格者の平均より高い内申を持った生徒』が、不合格になっているということが分かる。

これはいったいどういうことなのか。
そう、これが学校間格差による『弊害』だ。

得点力

低い内申でも合格しているというのは、『得点力がある』生徒である。
公立高校の入試は、『内申』『学科』『面接』の三要素で合否が決まるので、『学科』で高得点を取れたということになる。
逆に、高い内申を持ちながら不合格になっているというのは、『得点力がない』生徒である。
『学科』での低得点が影響して、残念ながら不合格になってしまったということだ。

生まれた背景

この両者、なぜ生まれたのか。

前者は、学力があるのに得点に見合った評価をもらえなかった生徒、後者は、学力以上の評価をもらっていた生徒だろう。
内申は、『関心・意欲・態度』などの観点も総合して成績が決まるので、もちろん得点力がすべてではない。
しかし、30も40も高い内申を持った生徒が不合格になる、まして、合格者平均より高い生徒が不合格になるというのは、その内申のつけ方に問題があるだろう。

高校の定員は、280人から360人程度である。
300人だと考えても、自分よりも内申の低い150人に逆転されたということになる。
これは、たまたまとか、1人2人ということではないので、やはり考えるべきだろう。

伝える義務

百歩譲って、『正しい生徒指導』ができているのであればいい。

『君は、実力以上の評価を受けているので、過信はするな。』
『君は、力通りの評価を受けていないので、諦めるな。』
正確な情報提供は、できていたのか。
結果を見る限りでは、やはりそれができていないから、高い内申を持った多くの生徒達が涙をのんでいるのだろう。

知る権利

甘い評価、甘すぎる評価の弊害が、過信や勘違いにつながっているのではないか。

勘違いについては、たぶん生徒本人よりも保護者の方が多いはずだ。
生徒自身であれば、ある程度の過信はあってもそこまで大きな勘違いはないだろう。
だが、内申という数値だけを見ている保護者からすると、それが全てに思われても仕方が無いだろう。

低い内申でも合格できた生徒は、果敢に挑戦、そして成功、してやったりだと思う。
しかし、平均以上の内申を持ちながら不合格になった生徒やその保護者は、納得しているだろうか。
本当の状況も知らされずに受け、よもやの失敗、けっして納得はできていないのではと思う。
せめて、『内申は力以上の評価なので、もしかしたら・・・』という覚悟があって受けたのであれば、納得して併願校へ進学できただろうに。

『彼を知り己を知れば百戦殆からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し。』