今日は前回のブログで出題した2019年4月の時事モン10問の解説をしていきます。

そのまま読んでいただいてもけっこうですが、プリントアウトした問題を見ながら読むと「こうかばつぐん」かと思います。プリントアウトは前回のブログ下部よりどうぞ。

それでは、いってみましょう。

2019年4月のニュース解説

新元号「令和」に決定

4月1日午前、新元号が「令和」になることが発表されました。

これまでずっと中国の書物が出典元であった元号でしたが、今回「令和」の出典元は奈良時代に書かれた日本最古の和歌集「万葉集」でした。日本の書物から初めて元号が作られました。

元号に使われたのは、万葉集の中におさめられている大伴旅人(おおとものたびと)が作った「梅花の歌」の一節「初春の“令”月(れいげつ)にして 気淑(きよ)く風“和”(やわ)らぎ 梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き 蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かおら)す」の部分です。

「初春のよい月で、空気もよく風も穏やかになり、梅の花は鏡の前にあるおしろいのように白く開き、蘭はお香のように薫っている」という意味で、九州の大宰府にある大伴旅人の邸宅で開かれた梅花の宴の際に詠まれた歌とされています。

「厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が明日への希望とともにそれぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたい」という安倍総理のコメントからも「春」のような時代になれ!という思いがひしひしと伝わってきます。

日本人がこれまで築いてきた「春」のもつイメージがたっぷりつまった新元号ですね。

響きは現代的で新しくありながら、文字に“和”をふたたび用いるあたりで過去から紡いできた日本人の文化や気質も感じられますし、「令和」けっこう気に入っているのは私だけではないはず。

改正入管法、施行

4月1日より改正出入国管理法(改正入管法)が施行され、外国人労働者の受け入れ拡大が本格化してきました。

日本の企業は今、人手不足です。人手不足で倒産する企業まであります。
そういった現状を変えるために「外国人労働者の数を増やし、人手不足を解消しよう」というのが日本政府の狙いです。

これまでは医療や研究など専門的な分野に限られていた在留資格(日本に一定期間滞在してよい資格)を、一定の技能をもっていれば単純な労働の分野にも認めることになりました。

受け入れ拡大によって雇用環境の悪化や日本人の雇用が減るなどの不安の声も上がっていますが、人手不足解消に向けた大きな一手となるのか、今後の雇用問題から目が離せません。

新紙幣、2024年より導入

4月9日、政府は2024年に新紙幣を導入することを発表しました。
新一万円札の肖像には渋沢栄一、新五千円札には津田梅子、新千円札には北里柴三郎が描かれることも発表され、いずれも近代日本をそれぞれの分野で支えた人物が、新たな紙幣の顔として登場することになりました。

新紙幣の三人を簡単に紹介しましょう。

渋沢栄一は「資本主義の父」といわれる実業家で、サッポロビールやみずほ銀行などの有名企業をはじめ、500もの会社設立にたずさわり、近代日本の産業を支えた人物です。

津田梅子は「日本女子教育の先駆者」といわれる教育者で、女子英学塾(現在の津田塾大学)を創設した人物です。女性の地位向上が日本の発展につながると信じ、男性と対等に力を発揮できる女子の育成に力を注いだ人物です。

北里柴三郎は「日本細菌学の父」といわれる人物で、日本で最初にコレラ菌を発見したり、破傷風の治療法を発見したり、ペスト菌を発見したりと、日本の医学界に大きく貢献した人物です。

世界初ブラックホールの撮影成功

4月10日、世界で初めてブラックホールの撮影に成功したことが発表されました。

撮影に成功したのはイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)と呼ばれる国際研究チームで、地球上にある8つの天文台にある電波望遠鏡を結合させて、地球から5500万光年離れたM87という銀河の中心にあるブラックホールの撮影に成功しました。

強い重力によってたとえ光であろうと近づいた物質を吸い込むとされる謎に満ちた天体ブラックホール。これまでその存在を間接的に示す証拠しかありませんでしたが、今回直接的な証拠を手に入れたことで宇宙の神秘にまた一歩人類が近づいたと言えるでしょう。

阿蘇山、2年半ぶり噴火

4月15日、熊本県にある阿蘇山がおよそ2年半ぶりに噴火をしました。
以降も小規模な噴火を繰り返し、上空にもくもくと噴煙を立ち上らせています。

現在の噴火警戒レベルは2で、火口周辺が規制されている状態です。
熊本の観光名所であるだけに、10連休前にしての噴火は少なからず観光収入に影響が出てしまったことでしょう。
小田原市民の私としては、2015年に起きた箱根山の噴火による観光への打撃が思い出されます。

このように自然災害が私たちにもたらす間接的な影響を中学生もじっくりと考えて欲しいと思います。

世界遺産ノートルダム寺院で大規模火災

4月15日から16日にかけて、世界遺産であるフランスのノートルダム大聖堂で大規模な火災が発生しました。

16日未明には鎮火したものの、木材で作られていた屋根の3分の2や尖塔(せんとう)が消失してしまいました。原因は現在も究明中です。

ディズニー映画「ノートルダムの鐘」の舞台でもおなじみのこの大聖堂。世界遺産ということもあって、世界中から多くの寄付が集められました。その額およそ10億ユーロ(およそ1230億円)。

フランス政府は5年以内の再建をめざしていますが、政府が尖塔などのデザインを新たに募る方針を示したことで、世論が真っ二つに割れているようです。

元の姿を復元すべきか、新たなデザインで生まれ変わるか、今後の動向に注目が集まります。

アイヌ新法成立、「先住民族」と明記

4月19日、アイヌ新法が成立し、改めてアイヌ民族の差別を禁止することや支援するための交付金制度を創設することなどが盛り込まれました。

新法ではアイヌを初めて「先住民族」と明記し、アイヌ民族の名誉と尊厳を保持する社会作りをめざすものとなりました。

北海道が2017年に実施した調査によると、北海道に住むアイヌ民族の数は5,571世帯、13,118人。これまで長きにわたって多くの差別に苦しんできたアイヌの人々ですが、それらが解消し、彼らが尊重される社会が実現することを願うばかりですね。

ちなみにアイヌ新法の成立によって、中3公民で出てくる「アイヌ文化振興法」は廃止となります。中3生は注目のニュースかもしれませんね。

スリランカで同時爆発テロ

4月21日、スリランカ最大都市であるコロンボをはじめ、国内8ヶ所で相次いで爆発テロが起き、外国人を含む253名もの尊い命が奪われました。

スリランカ政府はスリランカの過激派イスラム組織「NTJ」の犯行との見方を示し、関係者の身柄を確保して、事件の解明を急いでいます。

イスラムの「過激派」とは、イスラム教をテロや暴力などによって広め、社会を変えようという勢力で、主要な組織だけでもおよそ世界に40団体ほどあると見られています。

残念ながら今、世界はこの無差別で非情な暴力である「テロ」との闘いが各地で繰り広げられているのが現状です。

テロは人が多く集まる場所が狙われることが多いので、来年開かれる東京五輪も厳重な警備でとりおこなわれることでしょう。

はやぶさ2、りゅうぐう表面にクレーター作る

4月25日、JAXA(宇宙航空開発機構)は探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」の表面に金属の塊を打ち込んで、直径10メートルほどのクレーター(くぼ地)ができた写真を公開しました。

この人工クレーターから噴出物のかけらなどを採取できれば、「小惑星はどうやって生成されるか」「生命はどうやって誕生するか」など惑星や生命の起源を探る大きな手がかりになると見られ、今後の実験に注目が集まっています。

地球から遠く離れた小惑星で行われているはやぶさ2のミッション。現在はりゅうぐうへ着陸するミッションが進行中とのことです。
がんばれ、はやぶさ2!

天皇陛下退位、202年ぶり

4月30日、退位を国民に明らかにして、国民の代表とお会いする「退位礼正殿の儀」が皇居で行われました。

天皇の退位は1817年の光格天皇以来、202年ぶりのこと。現在のように憲法に基づいた政治のもとでは初めてのことで、退位に関する特例法を定めてとりおこなわれた儀式です。

「象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します。」というおことばを最後に残し、退位されましたね。松の間を出られるときの一礼が印象的でした。

特例法により、天皇陛下は退位後は「上皇」と呼ばれ、皇后陛下は「上皇后」と呼ばれます。

まとめます

定期テストのことだけを考えるのであれば、おそらく前回ブログに掲載したプリントを解いていれば事足りることでしょう。

しかし、私個人としては時事問題を「たんなる勉強」と割り切って欲しくないと言う思いがあり、なんとか中学生でも理解できるような解説を用意したい一心でこの解説編を執筆しました。

ニュースというのは画面の中や誌面の中だけの出来事ではありません。私たちが生活しているこの日常で実際に起きているリアルなのです。

今は向こう岸の火事のように思われるニュースだとしても、いつ私たちのそばで起こるかわかりません。

ニュースに対してほんの一歩でもいいから、今までよりも踏み込んだ理解のできるように、小さなサポートを地道に続けていこうと思います。

次回も時事モン、ゲットだぜ!

この記事を書いた人

加藤 正和
足柄駅前教室責任者/文系科目担当/時事モンGOの中の人

・「熱しにくく、冷めにくい。」一度火が付いたら止まらない性格。
・「書けそうで書けない絶妙なポジションの漢字」を探すのに夢中。

ユーミンとサザンとミスチルと中島みゆきとももクロをこよなく愛しております。でも最近のヘビロテはヒゲダンです♪
ビールと日本酒をこよなく愛しております。
したがって、カラオケと居酒屋をこよなく愛しております。

めったにブログ書きませんが
筆無精の「全力」をご覧ください。