「先生、その説明会って行かないとダメですか?」

毎年繰り返されるこのやり取りですが、私の答えはいつでも決まっています。

私立高校の説明会シーズン真っ盛り

この時期、高校の説明会が各地で行われます。
先週末も小田原で私立中高進学相談会が実施され、ウチの生徒たちも足を運んでさまざまな学校の情報を仕入れてきたようです。

1カ所に私立高校が30校も集まって行うイベントですから、いっそ進学フェス!とか名づけたらいいのに、と思わないでもありませんが、教育業界の品格を重んじる風潮の中では許されないのかもしれません。

そうそう、この時期の説明会というのは私立高校が中心なんですよ。
そこで発せられる生徒からの一言が、冒頭のものです。

きっと生徒の頭の中ではこういう思考が繰り広げられてるんでしょうね。

「えー、せっかくの日曜日なのにわざわざ説明会に行くのはやだなあ。
だいたい私立高校しか来ないのかよ。
俺が受けたいのは公立高校なんだから別に関係ないしね。
私立なんて親が○○か△△にすればいいって言ってるし、行かなくてもいいんじゃね?」

だから、私の返す答えはだいたい同じです。

「その併願校ってどうやって選んだの?」

それが明確に返せないような高校選びをするもんじゃありません。

私立高校は中学生たちに知られていない

神奈川県のすみっこである小田原では、公立高校を希望する生徒が圧倒的に多いのが特徴です。
地方都市あるあるすぎますよね。

そんな土地柄ですから、中学生たちは公立高校の情報なら正誤を問わずたくさん持っています。
まあ、結構間違った情報もたくさんあるんですけどね。

反面、私立高校のことは地元の2~3校以外全く知らない子も珍しくありません。
その数少ない「知っている学校」もかろうじて名前と所在地を知っているくらいで、コースがどのように分かれているかはほぼほぼ知られていません。

私立高校は保護者世代のイメージで選ばれている

子どもたちがそんな状態ですから、現実的に私立高校選びは保護者主導になってきます。

肝心の保護者の方々ですが、通塾しているご家庭なら放っておいてもどんどん情報が入ってきます。
やはり中1から在籍している子のご家庭と、中3の入試時期に来られたご家庭では情報力に差があります。

積極的に情報を集めないとどうなるか。
これは保護者のイメージが全てになってしまいます。

ただ、保護者世代のイメージはほぼ現代の入試には役立ちません
賢明な保護者の方々は、自分の持つ学校のイメージを一度クリアにして、現代の学校情報に接してみて欲しいと思います。

なんなら公立高校の方が昔のイメージそのままなことが多いですね(レベルはだいぶ上下していますが)。

今は手のひらサイズでいくらでも情報を手に入れることのできる時代。
情報の格差は、すなわち自発的な行動量の差です。
それこそこういった学習情報を発信するブログを自分から検索して読まれている親御さんは全く問題ないのですが、いくら発信しても、情報を手に入れようとしないご家庭に届くことは無いのが歯がゆいところです。

ちなみに昔とどう変わっているかをココに書くのは色々問題がありそうですので、気になった方はメールでも何でも良いですから、直接聞いて下さい。

私立高校と公立高校を同じ感覚で選んでいる

私の率直な意見ですが、今の制度はかなり恵まれてきており、かつての公立高校へ通う費用に色を付けた程度で私立高校に通うことが可能です。

要は会社と同じく競争社会である私立高校のクオリティが磨き上げられていくのは当たり前のこと。
もし完全に公立高校と私立高校の負担が同じであれば、受験生は私立高校に殺到するでしょうね。

仕事柄私立高校へお邪魔する機会が多い私ですが、自身が公立高校出身なので、うらやましいの一言です。
ウチの学校なんてだーれも真面目に掃除しないもんだから、寝転んだらホコリまみれになってましたからね。

寝転ぶなよというごもっともな指摘はさておき。

公立高校は学校ごとの違いがそれほど大きくありません。
そこは学校間での教員異動のある「公立」ですから、普通科であれば根本的なシステムに格差があってはいけませんしね。
結論、最も大きな違いは「学力」ということになります。

だから、学力によってある程度受ける高校が限定されていくのです。

一方私立高校はコースがいくつも設定されており、それぞれ学力が異なります。
そのため、同じ学力でいくつもの学校が受験出来ることになります。
高校選びにおいて学力は「要素の1つ」になってくるわけです。

それ以外のたくさんの要素に魅力を感じた上で、いよいよ1つの高校に絞られる、それが私立高校選びなのです。

併願校だからこそ真剣に選ばないといけない

私立高校しか受けない「専願」の子は、言われずとも真剣に選ぶでしょう。
1、2校しか検討しないということもないはずです。

一方、併願校を選ぶ子は結構適当に決めるケースが見られます。

ある子は公立高校は結構遠くを受けているのに、私立の併願校は意外に地元の高校だったり。
いえ、もちろん地元の高校に大きな魅力を感じたならそれがベストなのですが、何でその学校にしたのかを聞くと、知っている学校がそれしかないからという答えが返ってきたことにガッカリしました。

どちらの高校も自分が通う可能性のある学校なのに?

実は併願校だからこそキチンと選ばないと後悔することになります。
というのも、併願校へ進学する子のメンタルが問題なんです。

併願校へ行くということは、本命の公立高校を失敗してしまったと言うこと。
高いモチベーションは持てないでしょう。
そんな状態でも楽しく通うことができ、次第に生き生きとしてくる魅力的な学校選びが出来ていれば、その3年後が大きく変わってきます。

実際、高校受験より大学受験の方を重要視するんじゃないでしょうか?

だから、理想としては公立ならここ、私立ならここ、どっちに言っても満足だ、という状態まで磨き上げた志望校選びが出来ると良いですね。

まとめ

受験において、無知は損、これは確かです。

もちろん学校選びにおいて、他の人のススメであったり、自分の憧れであったり、学校の持つ魅力だけが選択肢ではありません。
私も憧れ100%で決めた志望校でしたので、校風や立地も含め、偏差値以外はほとんど何の情報もなく決めたクチですから。

ただ、世の中にはまだ知らない魅力的な学校がたくさんあること。
もしかしたら自分の人生を大きく変えてくれるかもしれないほどのインパクトを秘めていること。
これだけの情報社会ですし、知らないより知った上で学校を選ぶのが得策だと思います。

まだまだ各地で説明会がありますので、積極的に参加されてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

富田 靖之螢田教室・板橋教室責任者
指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。