先週のブログで神奈川県の公立高校入試の理科について、簡単な勉強の手順を解説しました。

誰でもできる神奈川県公立高校入試対策【理科】

実はあのブログ、書き上げたもののうち半分くらいに分割したもの。本当は理科の勉強をするにあたって気をつけたい注意点についても解説があったんですけど、メチャクチャ長くなってしまったので「コレ誰が読むんだ」と思って泣く泣く分割しました。

ということで、今日は後半戦。神奈川県の理科について、ここは注意しようねというポイントをいくつかまとめておきたいと思います。

平成31年度入試を基準にしないこと

去年(平成31年度入試)は近年まれに見るレベルで簡単でした。

受験生たちが会場でビックリして、「本当にこんな簡単でいいのか。もしかしたら何かウラがあるのでは……!」と疑った結果、何もウラなんか無く本当に簡単だったというオチだったのです。

平均点も久しぶりに60点を超えました。1時期は30点台の平均点だったのが嘘のよう。

はい、きっと去年は幻だったのでしょうね。どの先生も、どの塾でも、きっと今年は元のように難しくなると確信していると思います。

というのも、神奈川県の教育委員会が「平均点は50点前後にしたい」と公にしているからです。ずっと難しいのが続いていたので、ちょっと簡単にしようと思ったら、うっかり簡単にしすぎたのでしょう。ちょっとどころではありませんでしたがね。

令和2年度入試は、かなり難しくなると思って万全の対策をしておくことをオススメします。難しいと思って実は簡単だったならまだなんとかなりますが、逆だったら軽くパニックになりますよ。

ヤマを張らないこと

確かに4分野ずつ3年分を勉強するのは大変です。だから、先日のブログでは「得点がとれる部分から優先しましょう」と書きました。

これは、「どこが出やすいか」で分野を絞るのではなく、得点の伸びやすい部分を先に勉強すれば、結果が出やすいことでモチベーションが上がるのを目的にしたもの。ヤマを張るのとは根本的に違います。

そもそもどこが出題されるのか知っているのは作問者だけ。予想問題を作る業者だって、学校の先生たちだって、私たち塾の先生だって、誰も知りません。我々が全力で予想をしたところで、完璧に当たるわけではありません(ある程度当たりますけど)。

ましてや受験する立場の中学3年生には予想をするだけの経験と実力がありませんので、下手な予想をしている暇があれば、片っ端から勉強した方がまだマシです。

気をつけてほしいのはTwitterの情報。自分の通っている塾の先生が言ったことをうのみにして受検生が出題予想を拡散していることがあります。塾の先生が直接名前を出して発信しているのは責任を持ってやっています(外れれば信用を失うリスクがありますからね)からよいのですが、ただの中学生が発信しているものは100%デマですからね。

毎年のように「先生、今年は○○が出るらしいよ!」と私に言ってくる生徒がいますけど、釈迦に説法という言葉をご存じかな?と。

「国語力が必要」にダマされないこと

神奈川県の公立高校入試問題は、普段文字を読まない中学生にとっては泣けてくるくらい文章量が多いのが特徴です。

しかし、実際に理科の問題文を眺めてみると、長いのは長いのですが、使っている言葉自体はたいしたことありません。だから、特別に高い国語力は必要ありません。

理科の問題が解けないのは国語力が無いからではなく、理科の知識が不足しているからです。

ですから、極端に国語力が不足しているごく一部の受検生を除けば、読解力を磨くよりも、問題文を読んで必要な情報を読み取る練習をした方が効果があります。

そのためには、まず典型的な問題、つまりよくある問題を反復して慣れておきます。そして、問題文をすみずみまで読み、必要だと思われる部分にアンダーラインを引いたり、印をつけたりする練習をしましょう。

印をつける場所が完璧でなくてもよいのです。まずは形から入るのも重要です。そうしているうちに、本当に問題を解くために必要な知識に印ができるようになっていきます。そうすれば、特別な読解力など必要ありません。

過去問を繰り返すだけでは足りないこと

これは受検生本人ではなく、保護者が気をつけるべきことかもしれません。

というのも、むかーしむかしの神奈川の入試は問題がたいへん易しかったので、ただただ過去問を反復するだけで合格点がとれてしまいました。

そんな時代はとうに終わりを迎えています。

もちろん過去問は今も昔も必須の勉強ではあります。どんな問題集でも過去問のクオリティは出せていません。しょせんは似せただけの問題に過ぎず、過去問のような本質を問う問題やうわべだけではない難易度とは比べものになりません。

ですが、過去問だけでは圧倒的に量が足りません。

また、過去問と似たような問題が出るとは限りません。過去問とは違うパターンで、なおかつ入試レベルの難易度の問題を演習するには、全国入試問題の過去問がベストです。1冊2500円くらいするのでお高いですが、塾に行っていない人が入試レベルの演習をするには欠かせない問題集ですので、ぜひ入手したいところ。

全都道府県を網羅できたら完璧なのですが、狙いを定めて解く方がよいです。分野ごとにオススメの県はありますが、ものすごいザックリとしたことを言えば人口の多い県を優先的に解くのがよいでしょう。東京・愛知・大阪などですね。問題の難易度が難しすぎず、簡単すぎないので洗練されています。

まとめ

神奈川県の理科は難しい、というここ数年のイメージは、今も崩すべきではないと考えています。だからといって諦めてしまうのも違います。去年簡単だったにもかかわらずイマイチ得点が伸びなかった人は、理科を捨て気味で他の科目に力を入れてしまったのかもしれません。

まずは急いで基礎知識を身につける、そして過去問や全国入試問題を使って実践的な問題に慣れていく。王道の勉強法を貫けば、変にヤマを張る必要はありません。

その上で1つオススメするならば、天体の勉強を多めにやっておくとよいでしょう。別に今年に限らずよく出題される分野でもありますし、何より入試レベルに対応するのに時間がかかる分野ですからね。

塾帰りに空を眺めながら覚えた知識を実践するのもオススメ。入試が終わる頃にはオリオン座がかなーり西の方にあることに気づいたり。

この記事を書いた人

富田 靖之螢田教室・板橋教室責任者
指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。