入試や定期テストなど、(ある程度)短期的に結果を残すために大事なのはなにか。

勉強量?やる気?

それはまぁ当然大事。

でも案外大事なのは勉強の記録を残すこと。

そこに勉強の成果を発揮させるコツが隠れている。

ちょっと個人的な昔話

僕は高校生のとき剣道部に所属していた。

そこでは「部誌」という制度があった。

その日にいらした先生・先輩方の名前や練習メニュー、気づいたことや感想を持ち回りで1冊のノートに書いていくというものだった。

そのときは部の決まりだったから特に考えることもなく、自分の番がくれば必ず記録を残していた。

記録し損ねると何キロかある防具をつけたまま、学校近くの階段を何往復もさせられたり、練習メニューがきつくなったりしたから忘れるわけにはいかなかったのだ。

それはともかく。

この部誌に記録する習慣は意外な形で役立つことになる。

それは大学入試のときだ。

自分で言うのもなんだが、高校生のときの成績はひどいものだった。

下から数えたほうが圧倒的にはやい、そんな位置にいた。

だから当然、現役での大学受験は失敗に終わる。

その後浪人して大学合格を目指すことになった。

もう失敗できない。

なにがなんでも合格したい。

そんな中で思いついたのがその日勉強した内容、それについての感想、次に何をすべきかを記録することだった。

なんてことないノートに毎日毎日欠かさず記録した。

気分が乗らなかったり、スランプだったりでまともに勉強できなかったときもその通りに記録した。

すると不思議なものでそういう悪い状態から回復するのも早かった。

普段の勉強量が記録されているから、調子のいいときにやっていたことを見直してそのマネをすることができたからかもしれない。

入試本番前に見返して、これだけやったんだから大丈夫と自信をもってテストを受けられた。

結果として、高校生のときの惨状を知っている人からすると「えっ?」と驚くような大学に合格することができた。

勉強の記録を残す意義

記録をすることで思わぬ結果を残すことができたというのは、僕の個人的な体験に限ったことではない。

入試対策や試験対策の一環として「入試対策マニュアル」や「レコーディングノート」を導入するようになってから、その成果は表れている。

志望校にギリギリ届くかどうか危ないラインの生徒。

予定していた志望校のランクを2つも上げることができた生徒。

得点力に不安がある生徒。

それぞれが苦しい状況の中で、こちらの予想をいい意味で裏切って突破した。

それぞれに共通しているのは、びっしりと埋まった勉強やその予定の記録。あるいは模試の結果とそれに対する反省。

そのどれもが次に自分がやるべきことを明確にしてくれる。

自分がどう動くべきかを形にしてくれる。

動き方がわかるから、動き始めるのに必要なエネルギーを最小限にしてくれる。

だからより多く勉強できる。深く勉強できる。

調子が悪くなった時だってそう。

自分の残した記録に立ち返って、良い時の自分に復元できる。

つらくても頑張った記録が残っていればそれが自信につながる。

結果として自分を高いステージに引き上げてくれる。

そういう力が記録することには秘められている。

この記事を書いた人

陌間 和将
山王教室の責任者・国語の教科責任者を担当しています。
日常の授業を通して考える習慣を身につけてもらうべく、様々な仕掛けを凝らして授業をしています。