本日はちょうど神奈川県公立高校の学力検査の1ヶ月前。ウチの受検生たちも二週間ごとに模試を繰り返していますが、着実に伸びていく科目がある一方で、理科はどうも苦戦している生徒が多いようです。

思えば2ヶ月前、入試勉強の時期に入るときに勉強法のアドバイスを書きました。

誰でもできる神奈川県公立高校入試対策【理科】

さらなるアドバイスをしたいところですが、目標点はそれぞれですからね。順調に伸ばしている人はおいといて、ザックリ2つに分けて解説をしましょう。模試をやっていない人は去年以外の過去問をやってみると良いでしょう(去年は簡単すぎるので参考になりません)。

30点前後で苦しんでいる子

平均点を目指しているものの、現状30点台でウンウン言っているレベル。定期テストで平均点くらいだった子はここに当てはまりますね。

30点前後でくすぶってしまう原因はたった1つ、知識不足です

応用問題が解けない?それは違います。過去問や模試の問題には知識さえあれば解けるものが少なくとも30点分はあります。それさえ確実に得点出来ないくらい知識が無いんです。

正解した問題も油断できませんよ。その問題中に出てくる知識は全部身についていますか?たまたま答えの選択肢についての知識があったのかもしれませんが、他の選択肢の知識があやふやだと、次に出てきたときに間違えます。それがたまたま入試だったら?

まずは圧倒的に不足した基礎知識を身につけること

基礎知識は入試問題を解いていても身につきません。初心者は初心者用の問題集を使いましょう。それが学校のワーク、塾のワークです。

さすがにこの時期になってくると、自分の苦手な分野は分かってくるでしょう。そこを1点集中で解決します。

基礎的なワークを可能な限り高速で繰り返しましょう。とにかくノンビリやっている時間はありません。ダラダラ基礎知識を身につけている時期でもありません。それなら理科を潔く捨てて他の科目をやった方がマシというもの。

このレベルだと、苦手は分野は1つでは無いはずです。というか、全部苦手なんていいかねません。

残念ながら今から全部やるのは不可能ですので、対策する分野を絞ります。

オススメは、「生物」と「化学」です。基礎的な知識をそのまま使える問題が多く、得点が伸びやすい分野なんですよね。

小問の反復でパターンに慣れよう

基礎知識が増えてきた感覚になったら、次は小問を徹底して繰り返します

小問というのは、神奈川の理科でいうと「問1~4」の12問のこと。後半の「問5~8」の大問と比べると多少問題文が短く、取り組みやすいんですよね。

過去問を5~6年分持っていれば、かなりの練習量になると思います。入試問題集を持っていれば、その何倍も演習出来るのでかなり点数を伸ばすことができるはず。

この時期に得点が低迷している場合、正直言って理科の「本質」やら「原理」やら考えるには時間があまりにも足りません。徹底的に繰り返して問題のパターンを覚えてしまうのが近道です。

理科は暗記科目じゃ無いって?そんなセリフ吐いてる状況じゃないんですよ。このレベルの理科は暗記です。

50点前後で伸び悩んでいる子

理科は普通平均点が50点を切るくらいになるでしょうから、だいたい平均は取れる、というレベル帯になります。最終的に70点くらいまでは伸ばしたい子たちですかね。

ここで壁にぶつかる原因は2つあります。

1つはまだまだ基礎知識が固まっていないこと、もう1つは入試の典型的なパターンを把握していないことです。

小問の反復と知識の再確認

最終的に70点が目標だと、各大問の一番難しい問題を解く必要は無くなります。具体的に言えば問5~8の(エ)ですね。4問全て答えられなくても16点分なので、まだまだ余裕があります。

逆に言えば、それ以外の問題は取りたいところ。それにはパターン演習が欠かせません。というのも、数年前に超絶難化したとき苦戦した問題も、今となってはよく見る問題の1つになっているからです。

だから、小問に数多く触れ、見たことの無い問題を減らしていくことが重要です。

その際に気をつけたいのが、知識の漏れですね。神奈川県の問題だと、1つの問題を正解するのにかなりの知識が必要です。演習をして抜けている知識を確認し、再びインプットしていけば、まだまだ得点は伸びていくでしょう。

注意点としては、必ず解説には目を通すべきでしょう。解説と同じ考え方で出来たかを確かめておくと、たまたま合ってたということに気づくことができます。

計算問題を狙う

このレベル帯の人が狙うべきポイントとして、計算問題は外せません。

「えー?計算問題って難しそうだから絶対無理だよ」と諦めるのは早すぎます。実は神奈川理科の計算問題は意外に普通の難易度です。他の都道府県と比べても特段難しい問題が出ているわけではないんですね。

その代わり、知識だけ身につけても数学が出来るようにならないのと同じく、理科の計算問題もスラスラ出来るまで反復が必要です。公式を一生懸命思い出しているうちは入試問題を攻略出来ませんので、自由に使いこなせるまで練習しましょう。

ちなみに、計算問題も難易度に差があります。マスターするのが大変なものも少なくありません。

そこでオススメなのが、「蒸散量」「質量パーセント濃度」「密度」「地震波」「オームの法則」「定比例の法則」「質量保存の法則」「湿度」「中和」です。これらはマスターするのにかかる手間が「多少」楽かな、と感じます。

逆に、「溶解度」「圧力」「電力と熱量」「速さ」などの計算は、いくらでも難しくできてしまいます。それはさすがに手を出す必要が無いので、優先度は低いでしょう。

あくまで、残り1ヶ月で仕上げられる範囲ですので、ある程度「取るべきところ」「取らないところ」を選ばないといけません。ぜいたくは言えない段階ですよ。

70点前後であと一歩伸ばしたい子

70点に到達しているということは、かなりの次元で知識は身についているという証。さらに、計算問題も基礎的なものは一通りこなせるのでしょう。

そのレベルの子がさらにもう1歩伸びるためには何が必要か。原理や考察、実験など考えられることはたくさんありますが、一番大事なのは「頭を使う経験」です。

神奈川県の過去問はとうに繰り返して問題そのものを覚えているでしょうし、塾や書店で入手出来る神奈川県用の入試対策問題集は、過去問と似せて作ってあるので、劣化した過去問を演習しているのと同じです。

つまり、それだけやっていても結局過去問をなぞった問題以上のものは出来ないということ。やればやるほど神奈川県の「今までの」傾向に偏った考え方になっていきます。

ですが、入試問題を見ると毎年新しいタイプの問題が少しずつ取り入れられています。そういった問題に対応するには、「初見で対処する力」を磨くしかありません。

全国入試問題で異なるパターンに触れる

そこでようやく登場するのが「全国入試問題」です。神奈川県の傾向にとらわれず、同じ知識を違う形で問われることで「頭を使う経験」を貯えることが出来ます。全国のバラエティ豊かな問題がここで活きてくるのです。

だから、「神奈川に似た問題」より、むしろ「神奈川と全然違う問題」に触れた方が良いですし、それでいて難易度の高い問題であれば最高の材料になります。

ただし、基礎知識が不足している50点前後の子がやってもほとんど効果はありません。まず神奈川のパターンを制覇する方が優先ですね。

まとめ

約3ヶ月間の神奈川入試戦線も残すところ1ヶ月。ここまでの2ヶ月をまんべんなくフルに使っていれば、ここまで書いてきた内容の勉強なんて終わっていると思うんですけど、なかなかそう上手くはいかないもの。

英語や国語のような語学と比べると、理科は最後の最後まで得点が伸びると言われています。

そのためには、やみくもに浅い勉強をしていくのではなく、分野を出来るだけ絞り、1つ1つ仕上げていく勉強の仕方が必要です。他の科目の勉強もありますから、1つの分野に1週間かけたとしても、それでも4分野こなせます。

もちろんその4分野が全部入試に出るとは限りません。ただ、なんとなく目的も無く薄っぺらい勉強をしていても点数は上がりません。むしろ下がります。

残り1ヶ月、全力を費やした人が得点を伸ばし、合格を勝ち取ることが出来るでしょう。また、そうであるべきです。

アドバイスを生かすも殺すも本人次第。あなたは動く?

この記事を書いた人

富田 靖之螢田教室・板橋教室責任者
指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。