小学6年生は、たった2ヶ月後にはもう中学生になります。この時期、教育に熱心な保護者の方なら気になっているに違いないこと、それは中学への準備だと思います。
先取り学習はほどほどでいい
中学への準備といえば「先取り学習」がメジャーですね。すでに大手塾では中1内容の予習がどんどん進んでいると思いますが、これにはカラクリがあります。
書いちゃっていいんですかね?この時期に猛烈な予習をすると、中1の最初のテストまでに内容を約2周できます。だから、よほど苦手では無い限り最初のテストでは高得点が取れます。最初はね。
内容を2周して、過去問を演習し、塾の先生が丹精込めて作ったテスト対策プリントを反復したら、そりゃ満点近く取れます。このときの塾生平均点は大きな宣伝になりますね、確かに。
良い点が取れること自体はいいんですけど、最初のテストが中学生活での自己ベストになってしまう子が多いこと多いこと。問題は2回目以降のテストですが、さすがに丸2周なんてする余裕はありませんから、最初のテストほどの得点は取れなくなってしまいます。
最初だけ良くても、どうせ中1の成績は入試には関係ありませんしね。ウチの塾はどちらかといえば最初のテストより中2や中3の方が伸びている子がほとんどです。
先取り学習よりやるべきこと
もちろん、ある程度先取り学習をしておけば中学校の授業が楽になります。できればやっておく方が良いでしょう。
ウチの塾でも中1準備講習で英語と数学の予習を進めます。でもそんなに派手に進めるわけではなく、新中1のカリキュラムの一環として進めている程度です。
一方で、もっと重要なのが小学校内容の復習です。
小学校内容の取りこぼしはのちのち致命傷になるからです。
中1の内容は中1になってからでもタップリと勉強出来る。でも、いったん中学に上がってしまったら、小学校の内容を復習する余裕など無くなってしまいます。
だから小学校のうちに、そして小6の卒業間近という一番暇なうちに必要なことを復習しておくべきなんです。
小学生のうちに絶対定着しておきたい算数
そんなわけで、去年せっせと書いたんですよね、小学校の算数で絶対マスターしておきたい内容を。
過去の記事に埋もれていると思いますので、この機会に紹介がてらまとめておきます。
計算編
計算で最も優先して復習して欲しいのは「分数」です。分数の計算は中学校のメインと言っても過言ではありません。
苦手なままだと平均点にすら届かない可能性が極めて高くなりますので、ご注意を。
記事内でも解説していますが、小数の計算は分数ほど重要ではありません。もちろん出来るにこしたことはないので、分数をクリア出来ていれば小数をどうぞ。
なお、整数の四則計算がきちんとできない場合、中学校の勉強は絶望的です。これは極端でも無ければ暴言でも無く、事実です。教育にある程度の関心を持ってこられた親御さんなら通常ありえない話ですが、これを読んで不安になった方は、もう一度お子さんに目を向けてみて欲しいと思います。
けっこう切実に。
文章題編Part1
全国の小学生の敵、文章題。どれもこれも大事そうに思えますが、絞りに絞った結果、2つの大事な単元が残りました。
そのうちの1つが「単位量あたりの大きさ」。数学で重要になるのはもちろん、理科の計算問題での生命線といえる単元です。
きっと小学生からしてみたら「は?理科で計算とか意味分かんないんだけど」と思うでしょうけど、親御さんなら分かりますよね?数学と比べても死ぬほど苦手だった人もいますよね?
そうならないための単元です。きっちりと復習をしておきましょう。
ただし小学校では1週間くらいでサッと過ぎ去ってしまった単元ですので、実は小学生たちの印象に残っていない可能性大。
文章題編Part2
もう1つの単元は「割合」です。
親御さんには割合の重要さなんて説明するまでもないでしょう。実生活で分かっているのといないのでは、主に金銭面で格差がついてしまうところですよね。
そんな将来的な話はさておき、数学や理科、さらに社会でも大活躍するのが割合です。最近の高校入試では英語や国語でも使いますので、苦手なままにしておけません。
ここだけの話、小学校の先生も教えにくい単元らしいんですよ。「計算は出来ても本質はよく分からない」という先生が少なくないので、出来れば算数の得意な先生に教わっておきたいところですね。
それか、塾の先生に教わるのがいいですね。僕なら割合の計算に入る前に2時間くらい本質を語り尽くしてから進みたいところ(そんな時間はないけど)。
図形編
図形の問題は「円」がポイントです。少なくとも円の公式2つをソラで暗唱出来るのが最低ラインですかね。
円はなぜか5年と6年で分かれて勉強をするため、公式の上書きが起こりやすいのが難点。残念なことに円の面積の公式しか覚えていない子が体感で8割ですね。あながち間違っていないと思いますよ。
ホントかよと思われる親御さんは、ぜひお子さんに質問をしてみてください。「円の周りの長さの求め方は?」と。
ちなみに、幼少期からブロックやパズル、粘土などの立体的な構成能力を養う遊びをしてこなかった子は、立体感覚が身についていない可能性があります。女子は遊びの傾向的に立体感覚が養われにくいので、中学校で苦戦するかもしれません。
そんなことを常日頃から見ているので、幼い我が子にどんな遊びをさせるか、どんな遊びに興味を示すか、メチャクチャ気にかけています。
まとめ
この時期からウチの塾でも復習を進めていきます。
中1準備講習は「先取り学習」を、小6授業は「中学で価値のある内容」をバランス良く学習します。中学校で活躍することが目的ですので、先取りが全てになってはいけません。
ぜひそれぞれの記事を参考にして頂き、中学校でベストなスタートを切って欲しいですね。
1つ1つの記事がムダに長いのが残念なところですが、お子さんのためと思って我慢してご覧ください。
この記事を書いた人

- 螢田教室・板橋教室責任者
- 指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。
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