本日(令和2年2月14日)実施された神奈川県公立高校の学力検査について、社会の問題分析と難易度をいち早くお知らせします。

文中で表記されるA~Cは次のような指標です。

難しい。予想正解率30%未満
高度な考察や思考力が問われる問題
標準。予想正解率30%以上60%未満
原理や原則を問われる問題
簡単。予想正解率60%以上
知識が問われる問題

なお、各設問の表記は

問題番号 解答(例) 難易度

の順で表記します。

他の科目はこちら⇒|英語国語数学理科|社会|

問1 世界地理(12点)

(ア) 5 難易度A 
(イ) 8 難易度B 
(ウ) 1 難易度C 

難易度分析・解説

昨年まで非常に少なかった(ウ)のようなサービス問題があることから明らかに易化。

(ア)正距方位図法における正しい知識全周が最長の緯線=赤道の2つの知識を問う。赤道の位置は覚えていても、問われているのが赤道であると気づくに至ったかどうかが勝負の分かれ目だったのではないか。北極点から南緯60度まで「等間隔」という遠回しな情報提供が神奈川社会。教科書の太字レベルの語をわざわざ細字に言い換えるのが得意技ですから、未来の受検生は肝に銘じておくべし。赤道の位置さえきちんと理解していれば解けたのではないかという気もするが、すかし気味の問題で出鼻をくじかれた受検生も多い気がする。

(イ)壮大な資料の読み取りのように見えて、よく見たらただの割合の問題と適したグラフ形式の知識を答えるだけの問題。この問題で都市アとか情報を伏せておく必要ありますか?アイウがどこの都市でそれがどの国なのかなんて言うのはまったく関係なし(笑)。露骨に文字数を増やすためだけではないか。せっせと言われた項目の割合を出した人の勝ち。

(ウ)ひねりなしのサービス問題登場。都市エ:サンフランシスコ(アメリカ)の郊外→シリコンバレー=ICT関連企業の集中の教科書太字レベルの知識で得点できるお買い得品。口が裂けても「シリコンバレー」と言わないのが神奈川スタイル。

問2 日本地理(14点)

(ア) フォッサマグナ 難易度C 
(イ) 2 難易度C 
(ウ) 4 難易度B 
(エ) 3 難易度C 

難易度分析・解説

こちらも昨年に比べてかなり易しくなりました。地形図が1ページにドンと構えていたものからスケールダウンしましたね。そして実際の距離・面積を求める問題がなくなりました

(ア)(1)東と西の境、(2)カタカナ7字のヒントから教科書太字レベルのフォッサマグナを答えるだけ。お買い得商品。

(イ)これまた日本の諸地域を勉強していれば頻出の点取り問題。北陸地方の都市と雨温図を選ぶだけ。都市の選択肢も金沢市(中部地方→北陸地方)・札幌市(北海道地方)・仙台市(東北地方)・名古屋市(中部地方→東海地方)まぎらわしいものではなく易しい。雨温図も北陸地方は典型的な日本海側の気候である。冬の降水量が多い特徴を読み取るだけなのでこちらも易しい。

(ウ)グラフの読み取り。去年までの難易度を想定して文字を追うと拍子抜けするような問題。1:折れ線グラフの数字を見れば一目瞭然。増加し続けている。2:グラフから読み取れる情報は黒部市の人口が減少している点と、黒部市の65歳以上の人口割合が増えていることだけ。少子化を読み取るだけの情報は書いてありません。人口減少=少子化ではないことを知りましょう。他にも人口減少の理由は考えられますよね。3:100-30.5=69.5 69.5%が64歳以下なので下回っています。4:4つの年とも人口4万人以上いて、65歳以上の割合が20%以上なので40000×0.2=8000人を超えていることがわかります。

(エ)地形図と案内図を一致させる問題。まず目印となる宮野運動公園を利用してそれぞれの位置関係を把握する(案内図は上が北とは限らない)。次に警察署のとその前を走る道路からアとイを特定していけば難しくはないはず。

問3 江戸時代までの歴史(15点)

(ア) 601年から700年まで 難易度B 
(イ) 2 難易度C 
(ウ) 1 難易度C 
(エ) 6 難易度B 
(オ) 4 難易度C 

難易度分析

できごとの並べ替えがグッと簡単になりました!

まずジョーカー(不要な選択肢)がなくなりました。明らかに時代の前後関係をくみ取れるワードが説明されている。そしてここでも昨年の問題では考えられない(オ)のようなサービス問題もあるし。

中堅~下位層は7世紀が何年から何年かの問題でやらかしてしまうかもしれない。中1でも解けます。

問4 明治以降の歴史(14点)

(ア) 4 難易度B 
(イ) 2 難易度C 
(ウ) 3 難易度A 
(エ)
(i) 1 難易度C 
(ii) 4 難易度C 

難易度分析

(ウ)の国家総動員法に関する突っ込んだ選択肢を除けば、あとはやはり簡単。間違えそうな意地悪な選択肢もなく、昨年までの難問に備えて準備してきた受検生は拍子抜けだったのではないか。

問5 公民-経済(14点)

(ア) 1 難易度C 
(イ) 2 難易度C 
(ウ) 2 難易度C 
(エ)(あ) 利子 (い) A 難易度C 
(オ) 4 難易度C 

難易度分析

すべての大問のなかで1番やさしいのがこの問5。(ウ)は一見難しそうに見えるが、計算いらずで表のまんま答えればいいだけですよ。

昨年と一昨年は、この割合の部分が隠されていて、間違えが誘発してましたからね。確実に簡単になりました。

問6 公民-政治(14点)

(ア) 3 難易度C 
(イ) 3 難易度C 
(ウ)(i)あ 主権 い B 難易度C 
(ウ)(ii) 1 難易度B 
(ウ)(iii) 4 難易度C 

難易度分析

昨年に比べるとこちらも確実に易化。それにしても令和の神奈川社会入試は資料の読み取りが多い。

ここまで5題。読み取ることで現代社会の現状を学ぼうみたいなメッセージが隠れていたら出題者ブラボー。

問7 地・歴・公の融合問題(17点)

(ア) 3 難易度A 
(イ) 1 難易度B 
(ウ) 2 難易度B 
(エ)(i) 雇用をうみ出す (ii) C 難易度C 

難易度分析

時差問題が完全消滅かと思ったらまさかの展開!オマエここにいたか(笑)

神奈川県にもついに融合問題が登場しました。これまで地理に1問だけ歴史みたいなパターンはありましたが、これは完全なるミックスです。

ニューヨークというキーワードを串にして地理・歴史・公民をお団子にした感じですね。これは来年以降の新傾向で続くのはないでしょうか。

難易度はそれぞれの基本ができていればすんなり答えまで辿り着けるものばかり。個人的には本来の社会という科目のあるべき姿がそこにある気がして良問認定。

問題全体の総合的な難易度は

文字数による圧力は健在だが全体的にはかなり易化した印象。といっても3年前に戻ったという表現が適当か。

教科書の太字レベルの語を使わずに問題を構成する手法は相変わらずだが、手数の多い問題もほとんどなく、丸暗記をがんばった受検生にはご褒美になる問題がかなりあった。

一方で資料の読み取り、簡単な計算を要する出題が多めだったので、そのへんの問題がノーマークだと合否を左右するかもしれない。社会得意っ子がその力をいかんなく発揮するのではないか。

難易度Aにした問題がいくつかあるが決して高度な考察力が必要なものではない、重箱の隅をつつかれた感じ。得点のインフレが起こる予感。

他の科目はこちら⇒|英語国語数学理科|社会|

この記事を書いた人

加藤 正和
足柄駅前教室責任者/文系科目担当/時事モンGOの中の人

・「熱しにくく、冷めにくい。」一度火が付いたら止まらない性格。
・「書けそうで書けない絶妙なポジションの漢字」を探すのに夢中。

ユーミンとサザンとミスチルと中島みゆきとももクロをこよなく愛しております。でも最近のヘビロテはヒゲダンです♪
ビールと日本酒をこよなく愛しております。
したがって、カラオケと居酒屋をこよなく愛しております。

めったにブログ書きませんが
筆無精の「全力」をご覧ください。