3月いっぱいの休校。
未だかつてない事態に戸惑いは隠せないが、ここで勉強するかしないかで大きな差がついてくる。
それについてはこちらの記事↓にあるのでご覧頂きたい。

この春休みは未だかつてない格差を生むかもしれない

自習室開放中

で、トップページにもあるように各教室では曜日を限定して自習室を開放している。

山王教室も月、火、木曜日の9:00~17:00で開放している。(所属している生徒用に)
入室時の消毒、座席を離す、開室・閉室前の消毒など衛生管理は徹底して。
あまり強くは呼びかけなかったので参加する人数も少ないだろうなと思っていたら予想以上の参加者が来てくれた。

中学生は普段から試験前などでこうした自習形式に慣れているので3時間くらいならノンストップで勉強する。
何やるの?と聞けばサッと答えが返ってくる。
頼もしい限りである。

さて小学生はどうか。
自習室開放を決める前は少々の不安があった。

普段彼らが受けているのは1コマ50分の個別指導。
振替などで2コマ連続100分でやることはごくまれにある。
だが、こちらから取り組む内容を指示しているので決まったところまでやれば終わりのスタイルなのだ。

それが「自習」というスタイルに変わる。
何をやるか、どこまでやるか、どうやるか。
それらをある程度自分で決めなければいけない。
ゴールも自分次第で変わる。

まぁ、何をやったらいいか迷うようならサポートしてだんだん自分で勉強内容を決められるようにしよう。
そう考えて自習室開放期間がスタートしたのだが、予想はいい意味で裏切られた

3時間ぶっ続けで勉強する小学生

参加した小学5年生が3時間休憩なし、ぶっ続けで勉強し続けたのだ。
「3時間休憩なし」だ。
3コマじゃなく、文字通り「3時間」。

朝9:00に教室に来て自分で用意したプリントをひたすら、もくもくと解くのである。
ときどき解いて終わりにしようとしたので解き直しの指示などはした。
とはいえ、それ以外は完全に自習である。

それも一人だけではない。
彼らの頑張りには驚くばかりである。

ただこの話にはちょっとしたオチがある。

彼らの頑張りを目にして、うれしさのあまり保護者の方に連絡をしたときのこと。

「3時間休憩なしで勉強しました。ダラダラすることなく、ひたすら問題に取り組みました。ぜひ褒めてあげて下さい!」

するとある保護者の方から次のような返信がきた。

「『1時間だけやったら絶対に帰る』と宣言していたんですが、そんなに頑張るなんてビックリです!」

こっちもビックリである。と、同時に腹を抱えて笑った。
1時間のつもりが3時間
ちなみに僕は彼らになにも強制していない。
一緒の部屋で(席は離して)勉強していた中学生もちょっと驚いていた。
「あの子ら自分たちでやること決めて勉強してたね、すごいね」

もしかすると長時間平然と勉強する中学生を見て、帰るタイミングを見失ってしまったのかもしれない。
途中用事があって先に帰った中学生を見たとき、ちょっとソワソワしていたのはそれが理由かもしれない。
とはいえ3時間自分の意志で勉強をやり通したことには変わりなく、その姿にウソはなかった

それが火曜日の話。
そしてむかえた木曜日。
前回3時間勉強してクタクタになったことを考えれば、来ないことだって十分ありうる。
ところがそんな心配など無用だった。
木曜日もそろって彼らは勉強しに来た。
火曜日とおなじくもくもくと問題に取り組む。
「間違えた漢字が再テストできるように、工夫してみなよ」の一言で素直に動き、自分なりのアレンジも加えた。
そしてまた3時間ぶっ続けで勉強した子もいた。
今度はソワソワなしである。

家は勉強しやすい環境か?

さて振り返ってご家庭のお子さんはどうだろうか。
学校がなくても自主的に勉強に取り組んでいるだろうか。

おそらく大半の小・中学生は自主的に勉強などはしていないだろう
ただこれはごく自然なことだと思う。
学校の強制力から解き放たれた彼らが学校と同じように過ごせるとは到底思えない。
もし自分が同じ立場ならテレビに、ゲームに、Youtubeにとありあまる時間のすべてを遊びにつぎこむだろう。
家というのは休むところで、机に向かってガリガリ勉強する場所とはいいにくい。
(もちろん机に向かうだけが勉強ではないから、お風呂の掃除や食器洗いなど家の手伝いなどを積極的にするのも勉強の一つだとは思う。)
とはいえ今は図書館などの公共スペースも閉じてしまっているので勉強できる環境は限られている。
だから「家ではやれない」は通用しないのだ。
しかも、多くの子が勉強の手を止めストップしてくれている。
ここで勉強をすれば圧倒的な差がつくのは間違いない。

それは分かっていても動き出すのは苦労する。
そんなとき、否が応でもせざるを得ない環境に身を置き、勉強できたならかなり有利ではないだろうか。

集団の力というのは思った以上に強いようで、1時間で帰るつもりの子を3時間も勉強させてしまうのだ。
繰り返す様だがこちらからは何も強制していない。
1時間で帰るならそれでも構わない。
それでも気づけば3時間くらい勉強してしまう「場の力」というものがあるのだ。

そんなことを実感し、こちらの想像をはるかに超えた小学生の底力を感じた実りある今週の自習室開放期間だった。

この記事を書いた人

陌間 和将
山王教室の責任者・国語の教科責任者を担当しています。
日常の授業を通して考える習慣を身につけてもらうべく、様々な仕掛けを凝らして授業をしています。