漢字は読めるが、書くのが苦手というお子さんへ

漢字の読み取りはできるのに、書き取りが苦手なお子さんは、「鉛筆をもって文字を書く」という行為に慣れていない、または抵抗を感じている場合が多いです。要するに文字を書くという経験が非常に少ないのです。

昔は「漢字練習帳」のノートにびっしりと漢字練習をしてくる宿題が学校から出されたものですが、お子さんの学校はどうですか?
機械的に漢字を数多く書かせることに疑問を感じているのか、最近はあまり見かけなくなりました。いや、漢字に限らず今は昔に比べて宿題そのものがとても少ない印象ですが、親御さんの頃と比べていかがですか?

さらに家庭での日常生活を見てみてください。お子さんが文字を書く機会というのが生活の中にきちんとありますか?
世の中が便利になりすぎてしまい、字を書くことがめっきり減って大人でさえ漢字をど忘れしてしまうような時代です。

文字はもはや書くものではなく入力するものになり、録音、撮影、録画など記憶する装置の充実によってメモを取る習慣もめっきり減ってしまいました。(しかも、そのメモをとるのも文字入力で行うという・・・)

ですから、漢字を書くのが苦手というお子さんはまず文字を書く機会を増やしましょう

シンプルに漢字練習帳に漢字を書いていくのもいいですし、市販の漢字ドリルを進めていくのもいいと思います。

もっと楽しみながら学びたいということならば、書き取り形式の漢字アプリがオススメです。

また漢字を「形」で覚えようというお子さんがいますがこれはよくないです。漢字は「意味」で覚えていきましょう

漢字は勉強の中でだけ使えればいいものではなく、日常生活の中で使うことができて初めて定着できたと言えます。

ですから、漢字を覚えるときはその漢字が作る意味も知るように心がけましょう。お子さんが意味をたずねてきたら、スマホで調べてでもきちんと答えてあげて下さい。そういう何気ないやりとりから子どもは語彙を覚えていきます。

音読のとき、ときどき読みまちがえるというお子さんへ

音読が苦手という場合、語彙の不足、読書量の不足など経験不足的な原因から視覚障害、発達障害などの医学的な原因までさまざまです。

塾講師の私がアドバイスできるのはあくまで経験不足的な原因に関してになってしまいますが、まずは言葉の「かたまり」をきちんとつかまえて読む練習をしていきましょう。
中学校の国文法で「文節」(ネ・サ・ヨで区切ることのできる言葉のかたまり)という言葉の単位を学習するのですが、この文節を目安にして、まずはおかしなところで区切ったりしないように言葉と言葉の区切れをつかまえられるように音読していきましょう

はじめはゆっくりでいいです。とにかくつっかえないように、おかしなところで区切らないように気をつけながら読んでみましょう。

読むのはやはり学校の教科書が最適です。同じ文章で何回も練習でき、学校でその成果を発揮する場があるからです。
2回目の音読がスムーズになるのは、内容や言葉の区切れがある程度頭に残っていて、先が読めることによって余裕が生まれ、視野が広がるからです。

この経験を増やしていってあげましょう。

また、生活の中でも看板の文字を読ませる、テレビのテロップを読ませるなど生活の中で文字を読む習慣を増やしていくのも効果的だと思います。

作文が1人でうまく作れないというお子さんへ

作文の宿題は手伝ってあげないと終わらないお子さん、意外に多いと思います。

作文力を上げる方法はずばり2つ。

1つめのポイントは「1文を作る」力を養うこと
たった1文でいいので伝えるべき事が書けるかどうかを練習してみましょう。
そのとき気をつけるのは「だれが―どうした」「何が―どんなだ」という主語と述語です。まずはシンプルな文で良いので主語と述語だけでいろいろな内容を文にしてみましょう。
そうなるとうってつけの練習は日記です。何があったかという「事実」の文を1つとそれについてどういう感想・意見をもったかという「意見」の文を1つ。2文だけでいいので毎日コツコツ書いていきましょう。
そしてそれを必ず見て感想を言ってあげましょう。

2文日記にだんだんと慣れてきたら、主語と述語の文に「いつ・どこで・だれと・何を・どのように」といった修飾語をつけ加える練習をしていきましょう。書き慣れてくると自然とスピードアップしてきます。

ここまでたどりつけたら作文の第1段階クリアです。

2つめのポイントは「作文の型」を教えてあげること
書き始めはこう、文の途中はこう、最後はこう、といった具合に「テンプレ」を教えてあげるのです。
いきなり原稿用紙を出されてさあ作文を書きなさいと言われても書けるわけがありません。
文のつなげ方を教わっていないのですから。読書好きなお子さんなら自分の読んだ文章の言い回しを真似て文をつなげていくなんてことができるかもしれませんが、ほとんどの子にとっては非常にハードルが高いです。

「私は○○は△△だと思います。理由は2つあります。一つめは○○だからです。2つめは✕✕だからです。このように□□です。」という感じでテンプレートを教えてあげて、その中に自分の文をはめ込む形で練習をしていきます。

この2つのポイントをクリアするだけでりっぱな作文に仕上がります。
はじめに教え込むのがご家庭では大変だと思いますが、効果抜群ですのでぜひ試してみて下さい。
作文のテンプレートはネットを検索すればたくさん出てきますよ。

しつ問とぜんぜんちがう答えを言うときがあるお子さんへ

質問とおもいっきりズレた答えが書いてしまうのは、質問の意味がしっかりと捕まえ切れていない証拠です。
「会話ではそんなことないのに、ペーパーテストだとトンチンカンな答えを書いていることがよくあるのよね。」

これはずばり音声情報の処理は得意だけど、文字情報の処理が不得意ということです。

活字離れの激しい現代っ子によくある現象で、文字の圧力に負けてしまい、何を答えるのか理解が追いつかないのです。

文字情報の処理になれるためには、質問のポイントをマーキングすることと、質問でよく使われる言葉の意味を知ることが重要です。

まずは「何を答えるのか」というポイント部分に線を引くなどしてマーキングをしましょう。答えるものがブレては正解できませんから、まずは「何を答えるのか?」が本当に分かっているか確認するためにも設問にマークをさせましょう。

次に「端的」「対照的」「比喩」といった質問によく出てくるワードの意味を覚えていきましょう。
そういう頻出語の意味を押さえておくことがズレた答えの抑止につながります。

そして最後に「なぜそれが答えなのか」という理由を確認してみましょう。口頭で構いません。ウチの塾ではその理由を書いてもらったりします。

答えの根拠を述べるというのは国語の超基本であり最重要事項です。断片的でもいいので答えの根拠を言ってもらう練習をしてみてください。

本を読むより、動画を見る方が多いというお子さんへ

本より動画をよく見るという場合、文字情報に弱くなる傾向があります。

動画にももちろん文字は出てきますが、主役はあくまで映像や画像でそれを補足する程度です。
たしかに映像や画像があると知らないこともめちゃくちゃわかりやすく学べますよね。私も未知の情報を手軽に学べるのでよく活用しています。
ですが、そのわかりやすすぎるのがお子さんにとっては弊害になりうるのです。

本は文字しかないので、情報を補うべく自分なりの映像や画像を思い描くイマジネーションが自然と養われます。
「この登場人物はこんな声かな?」「この場所はこんな感じかな?」と文字情報をすばやく処理する助けとなる力が養われているのです。

ところが動画ではどうでしょう?わかりやすいのでそこで完結しています。補うものがないので満足してしまいます。結果、文字情報を処理するための力が育まれないのです。

子どもにかまってあげられないときは端末を渡して動画を見せておけばオッケーみたいな話をよく耳にしますが、お子さんが興味を持ちそうな本を買って読ませてみてください。
いきなりハードルが高いという場合は、絵付きの本でも百歩譲ってマンガでも良いと思います。

文字で話の筋を追うことができるお子さんとできないお子さんでは、その後の学習活動に雲泥の差ができています。

国語は勝手に身に付くものではありません。親世代がそう思っているのは、世の中がほどよく不便で生活の中で国語を学ぶ場があったからだとう事実を知らない方が実に多いです。

英語よりもなによりもまずは国語を完成させること。それが中学、高校で勉強に苦労しないためのいちばんの秘訣です。

この記事を書いた人

加藤 正和
足柄駅前教室責任者/文系科目担当/時事モンGOの中の人

・「熱しにくく、冷めにくい。」一度火が付いたら止まらない性格。
・「書けそうで書けない絶妙なポジションの漢字」を探すのに夢中。

ユーミンとサザンとミスチルと中島みゆきとももクロをこよなく愛しております。でも最近のヘビロテはヒゲダンです♪
ビールと日本酒をこよなく愛しております。
したがって、カラオケと居酒屋をこよなく愛しております。

めったにブログ書きませんが
筆無精の「全力」をご覧ください。