中3の数学は、この時期ちょうど三平方の定理を空間図形に利用するあたりを勉強している人が多いのではないでしょうか。え?うちの学校はまだそんなところ入っていない?それは学校間格差ですからね、諦めるしかありません。進度が速い学校はもうそろそろ教科書の全内容が終わりますから。

おっと、話がそれました。本題に戻りましょう。

空間図形が苦手な子は多い

空間図形(立体とも言いますね)は苦手な人が多い分野ですね。今まで指導した経験上、女子の空間図形苦手率は統計を取るまでもなく高いのは明らかです。私の指導している教室は常に女子率が高いこともあり、毎年あの手この手を使って鍛えていくわけです。

中3生に限らず、中1でもこれから空間図形を勉強しますし、それこそ小学生の中学年から空間図形の勉強は始まっています。すでに小学校時点で「苦手!」となっている人は少なくないのでは?

そんな空間図形苦手っ子たちに、ぜひやらせて欲しいことがあります。実に単純なのに、効果は抜群です。

空間図形が苦手な子がやるべきこと

空間図形が苦手な子は、「図を写す」作業をしましょう

本当にこれだけ。ひとまず問題なんか解く必要無し。テキストの図をそのまま「コピーするかのように写す」、ただそれだけでOKです。

お題:直方体を書いてみましょう。

では、この直方体を適当な紙に写してみましょう。

作図の問題例

ただの直方体

ここで大事なのが、定規を使ってできるだけ正確に写すこと。目指すは「コピーするかのように写す」ことですから、できるだけ長さも正確な方がいいですね。

フリーハンドだと、多少ずれていても「まあフリーハンドだし」という甘えが入ります。それじゃダメ。定規を使っていれば言い訳ができませんので、ちょっとのズレも許されません。

私もやってみようと思い、手近にあった付箋に書いてみました。

お手本例その1

決してお手本ではない

自己採点で80点というところ。点Gあたりの処理が雑です。各辺の平行が取れているのは及第点ですが、点Hのところで若干点線と点線がずれて合わさっているのが気になります。

フリーハンドでも書いてみました。

お手本例その2

もはや悪い例

自己採点で30点。全体的におじいちゃんが引いたかのように線が震えています。特にCGとか悲惨。さらにADとBCがどう見ても平行ではありません。

これは余興と言うことで。

図を写すと身につく能力

1.図形の構造がわかる

正確な図を書くためには、どの辺の長さが等しいのか、平行なのか、どの面が正面なのか、どの面が裏になるのか、どの辺が隠れ線で点線になるのか、このような情報がもれなくそろっていないといけません。

特に、平行な辺にめっぽう強くなります。なぜなら、平行な辺は図の中でも必ず平行になっているからです。いかに平行な辺を正確に書けるかどうかで図の良し悪しが決まると言ってもよいくらいです。

きちんと図を書こうとすればするほど、平行な辺を丁寧に書こうとします。この意識が空間を把握する能力を育てていきます。

2.立体と平面の違いに慣れる
垂直に見えない例

どう見ても直角には見えないよね

例題の直方体は、言うまでもなく6面がすべて長方形です。でも、空間図形の図中で本当に長方形なのは正面と奥の2面しかありませんね。他の4枚は見た目上平行四辺形になっています。
同じ理由で、本来垂直であるはずの部分もぜんぜん垂直には見えません。例えばBFとFGがそうですね。結局正面と奥の2面以外は正しい角度には見えないのです。

作図を練習していくと、平面にすると長方形でも、立体にするとそうは見えないことに慣れていきます。ただ眺めているより、手を動かしている分ずっと身につきやすいでしょう。

3.道具の扱いが上手くなる

これは単純に定規の扱いが上手になります。できれば小学生のうちにたくさん定規を使って作図をしておくと、その後の作図ライフに大きなプラス面が出てくるはずです。

生徒を観察していると、「この線を引きたいんだけど、どうやって定規を構えたらきちんと引けるか分からない!」と言わんばかりに定規が迷走している子が少なからずいます。ちょっとお子さんを観察してみると、意外に親御さんが気づいていなかった弱点が見つかるかもしれませんね。

図を写しておくと一石二鳥

空間図形の問題は書き込みが命。自分で補助線を書き込んだり、長さをメモしたり、書き込むことで理解を深めていくことが欠かせません。

テキストに書き込みをしても良いですが、何度も繰り返し解きたいとき、いちいち消さなければいけません。それ以前に、書き込みをしてあると解き直す気すら起こらないことも多いでしょう。

空間図形の理解を深めつつ、図も写せて自由に書き込みができるようになるため、問題を解くときは図をノートに写す習慣をつけることをオススメします。

ちょっとしたコツ

中学生が問題を解くために図を写すときは、ボールペンで書くと良いでしょう。

理由はいたって単純で、消しゴムをかけても図が消えないからです。意外と書き込んだ数字を消す機会は多いのですが、そんなときいちいち元の図が消えてしまうとイライラしてしまいます。ボールペンで書いてあれば安心ですね。

もっとも、これはある程度図を写す修行が進んだ人にしかできませんね。写し初心者がボールペンを使ってしまうと待っているのは地獄絵図です。

まとめ

空間図形の認識が優れている人は、空間図形に多く触れてきたから。身もふたもありませんが、これに他なりません。

幼いとき「構造遊び」と呼ばれる遊びを通じて、自然と身につけているケースがほとんどです。積み木,ブロック,ねんど,最近ではピタゴラスなどのおもちゃも良いですね。

こうした遊びを好んでこなかった場合、どうしても空間をつかむ能力は伸びにくいでしょう。

これを成長してから補うのが、図を写す練習です。やるとやらないとでは大違いですので、ぜひこれから空間図形を伸ばしていきたいと考えている子は実践してみましょう。

また、「ウチの子は大丈夫かな?」と嫌な予感がしてしまった保護者の方は、1度お子さんに書かせてみましょう。例題の直方体が書けないレベルのお子さんだと、確実に空間図形でコケてしまいますので、お早めの対処をオススメします。

この記事を書いた人

富田 靖之
富田 靖之螢田教室・板橋教室責任者
指導歴20年の理系担当講師。
教室ブログはムダに長文が多い上にコアな内容が多いので、お暇でしたらご覧下さい。