先日の記事で「学校の問題集をやる時期」についてアドバイスをしました。大半の中学生は「そんなの終わればいいんでしょ?」と思いがちですが、時期を工夫するだけでだいぶテスト結果に差が付くものです。その上でさらに高得点を狙うために必要なポイントは「学校の問題集のやり方」です。
学校の問題集は「どうせやらなければいけないもの」です。同じやるなら、ただの作業ではなく、テストで高得点を狙えるようにやった方が良いのは言うまでも無いでしょう。勉強のやり方が分からない中学生は、ぜひこの通りにやってみて下さい。
目次
学校の問題集を解く~1回目
え?1回目って何?1回解いたら終わりじゃないの?と思ってしまったあなた、もしあなたが中学1年生ならまだ間に合います。これから意識を変えて頑張ってみましょう。でも、中2生や中3生だったら、かなり危機感を感じた方が良いと思います。
例えば、あなたが部活動に入っていたとします。そうですね、野球部あたりにしてみましょう。あこがれのレギュラーになるため、大リーグで活躍するマー君のスプリットボールをYoutubeで見つけ、マネをして1回投げてみました。すると、あれよあれよと上達し、ついにレギュラーを獲得!
いや、無理ですから。
新しいものを1回やってマスターできたら誰も苦労はしません。田中マー君は素質も努力も日本一の選手です。恐らく想像もつかない程の反復によって、代名詞である必殺のボールをマスターしたはずです。
中学生が授業で学んだ内容は、ほとんどが初めて聞いた新しい内容です。ほぼ全ての中学生は、問題集を1回解いただけでスラスラ解けるようになる能力を持っていません(学年で5人いたら奇跡的なレベルです)。必ず何度か解くようにして下さい。ただし、何度か=2回ではありませんので、ご注意を。
まず何も見ないで解く
解く前に教科書やノートを見直しておくのは良いですが、解き始めたら何も見ないで解きます。1回目の目的は、「出来る問題と出来ない問題の仕分け」です。確かに×がたくさん並ぶのは性格的に許せない子もいるでしょうが、テストのためにグッとこらえて下さい。あくまで自力で解かないと意味がありません。
理科や社会の問題集を解くとき、ほとんどの中学生が教科書を調べながら答えを埋めていますが、むしろ逆効果です。自力で出来ないはずの問題を出来るように見せかけてしまうことになります。調べた問題は○になるでしょう。そうしたら、きっと復習しませんよね?なんと出来ない問題がそのままになってしまいます。騙されているのは自分自身という、何とも残念な結果です。
1回目は間違えても構いませんから、完全に自力でやりましょう。あまりに間違えすぎている場合、学校の授業を受けている自分の姿勢に問題があります(学校の先生のせいにしないこと)。
すぐに答え合わせをする
少なくとも1ページ解いたら、必ず答え合わせをします。理想的には、大問ごと(大きい1番)につけるのがベストでしょう。この理由は2つあります。
1つは、解いた記憶が残っている状態で答え合わせができるからです。その問題を解いたとき自信があったのか、それとも適当に答えを埋めたのか、解いた直後なら覚えているでしょう、きっと。自信がある問題を間違えた場合、とても悔しいでしょうから、内容が頭に残りやすくなります。また、適当に埋めた問題が合っていた場合は、もう1回やったら間違える可能性が高いということ。これは解き直しをした方が良い問題と考えましょう。
もう1つは、分からない内容をそのままにしないで進められる事です。問題集は、基本→練習→応用のように段階的に難しくなっていきますが、内容は同じです。基本問題で間違えた内容を見直してから先に進めば、練習問題では出来るようになるかもしれません(断言はできませんが)。ところが、答え合わせをしないままどんどん進めてしまうと、同じ内容を何度も間違えてしまい、全く意味がありません。
解説をよく読む
×がついた問題や、たまたま合っていた問題は、じっくりと解説を読み、理解をして下さい。もう1回やったとき自力で解けるかどうか、納得するまで読み込むことが重要です。よし!わかった!と思ったらもう1回読み返す、くらいでちょうど良いです。
教科書やノートを調べる
用語の問題は、教科書やノートを調べ直します。ただ答えをチラっと見ただけで覚えられるほど甘くありません。教科書を調べ、本文を読み返し、用語の意味にマーカーで印をつけ、出来れば声に出して読む、このくらいしてようやく印象に残るのです。解くときはスピーディーに、復習はじっくりと。これを心がけておきましょう。
質問に行く
解説を読んでも分からない問題は、誰かに質問をしましょう。一番良いのは、学校の担当の先生へ質問すること。先生という職業は、質問されると嬉しくてたまりません(笑)ので、嬉々として答えて頂けるでしょう。確かにハードルは高いですが、「この子はやる気のある生徒だな!」と思われたら勝ちですよ。
どうしても学校の先生がダメなら、塾の先生に質問をして下さい。学校の先生と同じく、中学生たちのミスしやすい部分を熟知していますから、何倍もの知識となって返ってくるでしょう。また、頭の良い兄姉がいれば、聞いてみるのも1つの手です。ただし、身内はケンカになりやすいため、あまりオススメしません。
友達に聞くのはどうかというと、これもオススメできません。理由はここで説明すると長くなりますから省きますが、極めて能力の高い子以外は質問に対応できないと考えておいて下さい。
その場ですぐ解き直す
解説や教科書でポイントをつかんだから、すぐに解き直します。「すぐ解いたらあまり意味ないんじゃない?」と思うかもしれませんが、むしろ「すぐ解けなきゃその後解けるわけが無い」と考えて下さい。どうせ後でもう1度解くので、ここはちゃんとポイントが掴めているかの確認で良いでしょう。
答えを写すのではない
答えの冊子や教科書は閉じ、自分で解かなくては意味がありません。かなり多くの中学生が答えをそのまま写していますが、それは手が疲れるだけで時間のムダです。
赤ペンで書く必要はない
解き直しを赤ペンで書いている人が多いようですが、さらに間違えたらどうするのでしょう。普通に問題を解くのと同じで、シャーペンを使って解き直しをすればOKです。最初に解いたものと混ざらないようにマーカー線を引いて分けておくなどの工夫をすると見やすいでしょう。その後、青ペンを使って○つけをすると、1回目で解けたのか、解き直しで○だったのかがハッキリ区別できます。
間違えた原因やポイントをまとめる
問題集の空いているスペースで構いませんから、自分が間違えた原因をまとめておきましょう。間違えた理由が分からないと、同じ事を何度解いても繰り返してしまいます。英語なら、なぜ自分の答えが誤りなのか。数学なら、どこでミスをしているのか。自分のミスを強調するのはとてもイヤな事ですが、これを習慣化していくと、うっかりしたミス=ケアレスミスを減らしていくことが出来ます。
また、解くときのポイントをまとめておくのも非常に有効です。せっかく教科書やノートで調べたことはまとめておき、強く印象に残してやりましょう。解き直しもしなければいけないので、スペースが足りなくなりがちです。ふせんにポイントをまとめて貼り付けておくのがとても分かりやすく、オススメです。
もう1つの大きな目的は、「学校の成績を上げること」です。もっと絞って表現するなら、「提出物で良い評価を得ること」です。学校の先生は、100名以上の生徒の提出物を管理しなくてはいけません。とりあえず解き、まとめて○をつけ、答えを写して終わり、という問題集を何十冊もチェックし続けるのは苦行です。中には、あからさまに答えを写しただけのものもあり、そんなんだったらむしろ出さなくていいよ、と思われているかもしれません(あくまで想像です)。
そんな中、ごく正攻法でキチンと解いてある問題集は、先生の目を引きます。調べたまとめは「関心」、かけた手間は「意欲」、丁寧な直しは「態度」です。誰だって、自分の科目に対して誠実に向かい合っている生徒をちゃんと評価してあげたくなりますよね。別に変なテクニックを使っている訳でもなく、狙っている訳でもない、正しい方法でやるだけで、良い評価がもらえるのです。
学校の問題集を解く~2回目
上にも書いたとおり、1回解いただけでマスターできるはずがありませんので、2回目を進めましょう。さすがに全部やる時間はありませんので、1回目で間違えた問題に絞ってかまいません。手順は1回目と全く変わりません。2回目に間違えてしまったら、解説や自らまとめた内容をよく読み返し、さらにつけ加えていきましょう。
ただ、問題集に1回目を解いているため、答えが見えてしまいます。もちろん答えの部分を隠しながら解いていくのは言うまでもありませんね。そして、もうスペースも空いていませんので、ノートに解きましょう。ノートにやれば、数学のような途中経過を書かなくてはいけない問題ものびのびと書くことが出来ますしね。
本気で繰り返す気のある人は、1回目をノートにやる
間違えた問題だけでなく、全問繰り返す覚悟があるなら、1回目をノートにやると良いでしょう。もちろん問題集は白紙のまま残っていますので、2回目を絶対にやらざるをえません。もの凄い努力が必要ですが、当然それに見合うだけの効果、つまり高得点が返ってくるのは間違いありませんね。
実は、2回目はそれほど大変ではありません。1回目の方が何倍も大変で、労力がかかります。本気で得点を上げたい!という科目だけでも良いですから、完全に2周してみては?ただし、後戻りは出来ませんので、一旦ノートに解き始めたら、確実に2周しないといけませんよ。
学校の問題集を解く~3回目以降
2回目で間違えてしまったら、これはもうあなたにとって超苦手な問題です。逆に考えれば、そこさえ何とかすれば仕上がる、という事ですから、気合を入れ直してじっくり何度も解き直ししてみましょう。何度もというのは何回のことでしょうか?答えは1つ、出来るまで、です。
まとめ
やり方1つ説明するだけでこれだけの文章になってしまうくらい、正しく使いこなすのが難しい学校の問題集。おそらく「大変だなぁ」と思ってしまったことでしょう。しかし、ここまでやればちゃんと結果が伴うのも事実です。
これだけの内容をこなすためには、非常に多くの時間が必要です。少なくともテスト直前にこなせる分量ではありませんね。だからこそ、前回の記事でも触れたとおり、学校の問題集は習ったらすぐやるべきなのです。平日にコツコツやってしまえば、想像以上にアッサリ終わりますよ。習ってすぐですから、空欄だらけということもありませんし、スラスラ解けます。その分調べるのも直すのも楽です。もちろん2回目をやる問題数も減ります。トータルの時間は圧倒的に少なくなり、良いことずくめです。
今回のテストで直前に片付けた人、ぜひ反省を元に次回はコツコツ進めてみましょう。きっとテスト前には大きな余裕と自信になって、あなたの力になってくれるでしょう。
この記事を書いた人
- 指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。
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