令和4年2月15日実施された神奈川県公立高校の学力検査について、社会の問題分析と難易度をいち早くお知らせします。

文中で表記されるA~Cは次のような指標です。

難しい。予想正解率30%未満
高度な考察や思考力が問われる問題
標準。予想正解率30%以上60%未満
原理や原則を問われる問題
簡単。予想正解率60%以上
知識が問われる問題

なお、各設問の表記は

問題番号 解答(例) 難易度

の順で表記します。

問1 世界地理(15点)

(ア) 2 難易度B 
(イ) 2 難易度B 
(ウ) 3 難易度C 
(エ) 4 難易度B 
(オ) 1 難易度C 

難易度分析・解説

昨年の反省を受けてか知識が必要な問題が増えました。
これは全体的にもいえることですが、資料(図や表)の読み取りが増えてきています。
知識を前提とした資料の読み取りと必要としない読み取りの二種がありますが、問1に関しては前提知識が必要なものが多めでした。

問2 日本地理(14点)

(ア) 6 難易度C 
(イ) 2 難易度C 
(ウ) 3 難易度C 
(エ) 4 難易度C 

難易度分析・解説

こちらも資料の読み取りが多め。
これが今後のスタンダードになるのでしょうか。
難易度は易しいものの、解くための作業(計算など)が多めです。
なので簡単とはいえ、手間がかかります。

問3 江戸時代までの歴史(14点)

(ア) 4 難易度C 
(イ) 5 難易度C 
(ウ) 2 難易度B 
(エ) 1 難易度A 
(オ) 3 難易度B 

難易度分析

仏教と政治を絡めた問題。
出てくる用語は教科書の太字レベルですが、用語だけ知っていても解けない工夫がされています。
用語と意味とその周辺知識を覚えるのが大事だと思わされる一題です。
また時代と知識の結びつきがあいまいだと、得点しにくい問題が昨年より増えています。

問4 明治以降の歴史(14点)

(ア) 1 難易度C 
(イ) 2 難易度C 
(ウ) 1 難易度B 
(エ) 4 難易度A 
(オ) 3 難易度A 

難易度分析

こちらも資料の読み取り問題が多めです。
とはいえ、地理とは違い、前提となる知識がかなり必要になります。
この問いのデキが結果を大きく左右させることになるでしょう。
年号、出来事のつながりや流れがつかめていることが必要です。

問5 公民-総合問題(16点)

(ア) 1 難易度B 
(イ) 4 難易度C 
(ウ) 2 難易度B 
(エ) 7 難易度B 
(オ) 5 難易度C 

難易度分析

今年は経済・文化・政治・国際機関を混ぜた出題になっています。
一問一答などでよく見る表現とは違い、少しひねった聞かれ方をしています。
歴史とおなじく用語だけ覚えても通用はしないでしょう。

問6 公民-総合問題(13点)

(ア) 4 難易度C 
(イ) 8 難易度C 
(ウ) 3 難易度B 
(エ) 2 難易度B 

難易度分析

公民に関しては問5、6ともに最初の数題が市販の問題集レベルの問題が出題されています。
少し難しいなと感じる問題の多くは重箱の隅をつつくような細かい知識ではなく、用語を広く理解できているかを試すものが多いです。

問7 地・歴・公の融合問題(15点)

(ア) 3 難易度C 
(イ) 4 難易度B 
(ウ) 5 難易度C 
(エ) 1 難易度C 

難易度分析

今年も「一応」、地歴公民の融合問題は出題されました。
が、内容的には形だけ合わせたといった印象は否めません。
正誤の判定をするのに作業が多め、という以外特に難しい問題はありませんでした。
最後の一問はとってつけた感じがして面白いです。

問題全体の総合的な難易度は

昨年の大インフレを受けて、全体的な難易度を上げてきた印象です。
間違いなく平均点昨年よりは下がるでしょう。
しかし、60点は超えてくるのではと予想します。

全体の傾向として図表やグラフを読み取る問題が32問中10問。
なんと全体の3割です。

その中で図表に答えが載っている(前提知識を必要としない)のが8問でした。

また、図表の読み取りには割合の計算が多いので来年以降受検する中学生はその練習をしておくと良いでしょう。

この記事を書いた人

陌間 和将
山王教室の責任者・国語の教科責任者を担当しています。
日常の授業を通して考える習慣を身につけてもらうべく、様々な仕掛けを凝らして授業をしています。