中学生が定期テスト前に頭を悩ませる定番と言えば、学校の問題集を提出することでしょう。問題を解くことに頭を悩ませるなら良いですが、大半の中学生はいかにして終わらせるかに頭を悩ませているのが現実です。学校の問題集は、中学生の最大の「敵」と言っても過言ではありません。きっと。

もちろん学校の先生は嫌がらせで提出させる訳ではありません。 その役割は主に2つ。

1.生徒に最低限の演習量を確保するため
2.生徒の意欲を評価するため

ちなみに初めてテストを受ける中学1年生は、2.を軽く考えていると思います。万が一提出しなかった場合、テストでどんなに高い得点を取ったとしても、確実に成績は1段階以上下がります。先輩たちが徹夜してでも終わらせようと必死になっているのは(この時点で色々と問題はありますが)、それだけ成績に大きく響くということなのです。

よって、提出しないという選択肢はありません。どうせ提出しなければならないのです。やるからには最大限の効果を発揮できるよう取り組むのが賢いやり方です。さきほどの2点を両方ともクリアしつつ、テストで良い点を取れる問題集への取り組み方を2回に渡って紹介しましょう。今回は、学校の問題集をいつやったら良いか、です。学院生はもちろん、それ以外の中学生も実戦してみることをオススメします。

いつやるの?学校の問題集 ベストな時期は

同じ学校の問題集をやっても、取り組む時期によってその効果は大きく違います。また、かかる時間も全く違います。どうせなら、少しでも効果的に、かつ素早く終わらせたいものです。ここでは、3つのケースを例に挙げてみましょう。

1.テスト直前にやる

誰からもアドバイスを受けたことがない中学生のほぼ全員がこのパターンです。ハッキリ言って、デメリットだらけで全くオススメできません。

まず、ページ数が大量すぎます。学校の問題集が120ページ前後だった場合、1回のテスト範囲が30ページほどあります。どうでしょう、白紙の30ページを目の前にして、果たして「よし!頑張るぞ!」というモチベーションがわくでしょうか?

それに加え、終わらせなければならないプレッシャーから、「解く」ことが目的ではなく「終わらせる」ことが目的になってしまうのも良くありません。もはや勉強ではなく、ただの「作業」です。時間も限られているため、焦りと誘惑に負けて答えを見たり写したりしてしまいがちです。

何より最大の欠点は「解き直す時間が無い」ことです。仮にテスト10日前からやり始めたとすると、学校の問題集が実技を含め平均4~5冊ありますから、2日で1冊終わらせなくてはいけません。ところが、そのペースでやったとしたら、間違えたものを解き直す時間はゼロ。1日1冊で終わらせて行ったとしても、解き直す時間は1科目1日だけです。直前まで問題集を放置していた子の出来が良いとは思えませんので、1日で解き直しを終えるのはまず不可能でしょう。

学校の問題集をテスト直前にやっても良い子がいるとしたら、普段から別の問題集などで多く練習を積んだ上で、最終確認として解く場合に限られます。そして、ほとんどが解ける状態に仕上がっていないといけません。何しろ解き直す時間はありませんからね。よほど高い能力を持っている子でないと出来ないレアなケースです。

2.塾で習ったらすぐにやる

大前提として、学校よりも速いペースで進んでいる塾に通っている中学生だとしましょう。塾で習った部分を探し、1週間以内に解いていきます。これが最も早い時期に終わります。

習ってすぐなので、解き方はちゃんと覚えているはず。スラスラと解けていくのであっという間に完了します。当学院の授業ペースなら、1週間にやらなければいけない分量は2ページくらいでしょうか。30分くらいで片付けられますね。週に30分なら、部活が忙しい子でもたいした負担にはならないと思います。もちろん科目数の分だけ増えていきますけどね。

ところが、早いペースで進む塾に入っている場合、学校の問題集を解いてから学校の授業で習うまでに1~2ヶ月空いてしまいます。学校での授業を真剣に受けている子なら問題ありませんが……授業を舐めてかかっている生徒の場合、確実に内容を忘れます。こういう子に限って「塾で習ったし楽勝!」と意味の分からない自信に満ちあふれているため、テスト勉強をする頃になると解けなくなっているケースが多々あります。学校の授業を真剣に受けているならば問題ありませんが……大手塾の生徒によく見られる現象ですね。

一度身についたとしても、時間がたてば個人差はあるものの誰でも忘れます。普通の中学生の能力では、やや間が空きすぎるので、積極的には勧めません。一方、能力の高い子(学年トップ5くらい)なら多少時間が空いても忘れないでしょう。その子たちなら塾で習ったらすぐ学校の問題集に取り組むのが良いでしょう。学校の授業やテスト前に大きな余裕が出来ます。

3.学校で習ったらすぐにやる

塾に行っている・行っていないに関わらず、最もオススメです。塾に通っている中学生を例に挙げて説明します。

まず、塾の授業を受けます。内容の定着のため、塾から宿題が出ます。その後、学校で再度授業を受けます。そして、その直後に学校の問題集をやれば、授業→演習→授業→演習というくり返しになり、同じ内容を何度も勉強するリズムが整います。一般的な能力の中学生だと、どうしても塾で習ってしばらくすると多少忘れてしまうでしょう。少し記憶が薄れたところで学校の授業と問題集をこなすことで、ベストなタイミングの復習が行えるというわけです。

私の担当する生徒にはこのペースで学校の問題集を進めるように指示をしています。テスト範囲が公表されるテスト2週間前には、学校の問題集はほとんど完了しているため、テスト勉強の準備が既に整った状態になっています。

ちなみに、塾に行っていない中学生の場合、学校で習ったらすぐ問題集をやらないと、余程の力が無い限り学校の授業について行かれません。学校の授業中は、定着するために必要な問題演習量をこなすことができません。様々なレベルの生徒がいますので、解説を理解させるのにとても時間がかかるためです。授業を聞いて理解しただけではテストで得点が取れませんから、必ずたくさん問題を解き、定着させないといけない。これを自分でやるのに最適なのが学校の問題集なのです。

また、地域にもよりますが、小田原のように塾に通っている生徒が多い中学の場合、塾通いをしている子を基準に進めていく先生もわずかに存在します。もし1回でも「どうせみんな塾に行ってるから知ってるでしょ」なんて事を先生が言っていたらアウトです。授業ペースが異様なほど速くなりますので、授業→すぐに演習をしていかないと、気がついたときにはサッパリ分からない、という事態になってしまうでしょう。ご注意を。

まとめ

学校の問題集は全員やっているはずなのに、テスト結果に大きな差がつく。その理由の1つが「変な時期に解いている」ことだと考えられます。

塾で指導をしていると、勉強慣れしていない中学1年生や、途中から入ってきた生徒の多くがテスト直前に焦って問題集を片付けています。それはつまり、「普段は何もしてこなかった」ことを表しています。塾や学校の宿題に追われ(追われるほど多くないでしょうが)、それ以外に自主的な勉強時間を確保していないということです。そりゃあコツコツ普段から問題集を進めてきた子にかなうはずがありません。

学校の問題集ですから、学校のペースに合わせて解くことを想定されています。ですから、やはり学校で習ったらすぐに解くのが効率的です。学校の先生の中には、授業中に問題集を解くように指示される先生もいらっしゃいます。あらかじめ解いてあるのを先生がチェックされたとき、やる気を評価されるメリットよりも指示に従わないと思われるデメリットが怖いところです。学校の先生の指示を最も大切にすべきでしょう。

大切なのは、テスト前に仕上げるものではなく、日頃から取り組むものだと思っておくことです。学校の問題集の取り組み方1つで、あなたのテストの得点は大きく変わります。提出物を使って成績・得点を挙げるポイントは、「やる時期」です。そして、もう1つの重要なポイントを押さえることで高得点に近づくことが出来ます。それについては、後日解説をしましょう。→解説しました。「学校の問題集でテストの点を上げよう!塾の先生が教える上手いやり方

この記事を書いた人

富田 靖之螢田教室・板橋教室責任者
指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。