「読解力を身につけるにはどうしたらいいですか」という質問を、教室に通う生徒の保護者の方から頂きました。

今回はそれに答える記事です。

読解力は勉強面で特に重要

勉強の基本は教科書にあります。

その教科書を読み解くことが力をつける最短の方法です。

もちろん読むだけで力がつくわけではありません。

とはいえ、学習している内容が頭に入っていないのに問題ばかり解いても効果は薄い。

定期テストなど限定された場面ではその場の暗記でどうにかできても入試のように広~い範囲から出題されたときは太刀打ちできません。

だからどっしり腰を落ち着けて教科書を読むこと。

これが何より大切です。

でも教科書を読み切るだけの読解力がない、まだ身についていないと感じる。

そんなときは次の方法を試してみて下さい。

まずは音読

読解力にかなり自信がないときはまずこの方法。

ポイントは2つ。

1.スラスラ読めるまで繰り返す。

2.つっかかった言葉はさくいんで調べる。

1について。

特に教科書を最後まで読み切れない、その忍耐が続かないときはここからスタートです。

はじめは意味を理解しながら読もうとしなくていいです。

目的は文を最初から最後まで読み切ることなので。

そして2について。

スムーズに読めない(つっかかる)のはその子にとっては不自然な言葉が出てきているということ。

すなわち意味の分からない言葉が登場しているわけです。

そしたらすかさず教科書のさくいんでその言葉が説明されているページを調べます。

間違えないでください。

辞書ではありません。「教科書」のさくいんで調べるのです。

辞書自体はとても有意義な道具です。

しかし、説明するための語数が限られているので表現が難しいことが多いのです。

だから、調べた言葉の説明にさらに分からない言葉がでてきて、それを調べたら、さらに分からない言葉がでて・・・という無限ループが起きえます。

(まぁそれはそれでいいことですけど、たいていの子は心が折れます。)

調べたら即単語帳を作ります。

表は調べた言葉。

裏は教科書に書いてある説明。

音読しながらテスト勉強の準備も兼ねられる勉強時短術です。

お次は精読 主語と述語にマーキング

精読とは詳しく読むこと

音読をすることである程度の内容は頭に入るはずですが、細かい内容までは理解できません。

なので、目を皿にして読んでいきます。

「でもなかなか内容が頭に入ってこない・・・。」

そんなときは主語と述語にマーキングさせましょう。

文章で最も重要なのは主語と述語。

「だれ(何)が」「どうした・どんなだ・なんだ・いる(ある)」の部分です。

途中に書いてあることは一度省いて、主語と述語だけの単純な表現にしてみます。

例として歴史の教科書の表現を借りてきましょう。

秦は、北方の遊牧民族の侵入を防ぐため、万里の長城を築きました。

で、主語と述語だけの単純な表現にします。

秦は北方の遊牧民族の侵入を防ぐため、万里の長城を築きました

「あぁ、秦は万里の長城を築いたんだな」というのがわかります。

で、そのあとに省いた部分に注目します。

秦は、北方の遊牧民族の侵入を防ぐため、万里の長城を築きました。

「あぁ、北方の民族の侵入を防ぐのが目的だったんだな」という周辺知識もわかります。

最も重要な部分から理解して、そこから知識をつけたしていくのです。

気をつけたいのは次のような一つの主語に対して複数の述語がある場合。

続いて中国を支配した漢は、領土を中央アジアまで広げて大帝国を築き、周辺の国々の王にも印を与えて、皇帝の臣下と見なしました。

主語は「漢は」であるのに対して、述語の部分は1「大帝国を築き」、2「印を与えて」、3「皇帝の臣下とみなしました」の合計3カ所です。

このように複数の述語があると一気に読みの精度が下がってしまうことが考えられます。

でもご安心を。

そんなときは「、」ごとに述語があると気づかせてあげてください。

続いて中国を支配した漢は、領土を中央アジアまで広げて大帝国を築き、周辺の国々の王にも印を与えて、皇帝の臣下と見なしました。

精読 その2 指示語を探せ

精読は更に続きます。

次に気をつけるのは「この」「その」「これ」「それ」などの指示語です。

文章中に出てきたらすかさず指示語をマーカーでチェックさせましょう。

そして、間髪入れずにその指示語が指している言葉を見つけてチェック

そしてその2つを線で結びましょう。

そうすることで説明されている部分が浮かび上がり、文と文につながりができ理解しやすくなります。

精読 その3 定義語にマーク

指示語に注意を向けつつ、次の表現に気をつけて読んでいきましょう。

「◯◯とは」

「△△という(呼ぶ)。」

「~を意味する。」

これらの表現は「定義」を表します。

その用語の意味や使われ方、考え方や原理・原則を表すときに使われる表現です。

この「定義」が書かれた言葉は重要なのはもちろんのこと、その後何回も登場する可能性の高い語です。

なので、見つけたら無条件にマーカーなどで線を引き、読むスピードを落としてでもその周辺をじっくり読んで理解しましょう。

教科書を使って文の読み方を学ぶ

最後に教科書を使った読み方練習をまとめておきます。

1.音読
2.主語・述語に注目
3.指示語に注目
4.定義語に注目

この読み方は当然国語でも応用可能です。

内容を理解するための読み方なので。

こうした読み方がクセになれば、読み取る力としては十分身についていると言えます。

「でも何だか読み取れていない感じがする」

そう感じるときは読み取る力ではなく、それを表現する力が足りないのかもしれません。

表現する力を鍛えるにはどうすれば?

それについては追って別の記事で書いていきます。

あ、あと教科書を読んだだけで勉強した気になってもいけませんよ。

理解したら解く、「鉄は熱いうちに打て」です。

この記事を書いた人

陌間 和将
山王教室の責任者・国語の教科責任者を担当しています。
日常の授業を通して考える習慣を身につけてもらうべく、様々な仕掛けを凝らして授業をしています。